かつてのTwitterアカウント(削除済み)の別館です。
主に旅での出来事につき、ツイートでは語り切れなかったことを書いたりしたいと思います。

大邱の旅[201706_03] - 「頭流壁画マウル」と大邱十味のムチムフェ、「ヒウム日本軍『慰安婦』歴史館」

前回のエントリーの続きです。

韓国・大邱(テグ)広域市を巡る旅、明けて2日目(2017年6月10日(土))です。

 

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早朝の大邱駅。この日もいい天気です。

 

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この日最初に向かったのは、都市鉄道(地下鉄)2号線「パンコゲ」駅の近くにある「パンコゲムチムフェコルモク」。大邱を代表する10種の料理「大邱十味」のひとつに数えられる「ムチムフェ」(무침회)の専門店が午前7時から開店しているとの情報を得たためですが、訪問してみるとまだ準備中。正確な開店時間は午前10時とのことでしたので、開店待ちを兼ねて近場にある次の目的地へ向かうことに。

 

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パンコゲ駅からムチムフェコルモクとは反対方向に十数分ほど歩いた場所に、この日最初の目的地となる「頭流(トゥリュ)壁画マウル」があります。
狭い路地が密集した住宅の間を縫うように走ることから「迷路(ミロ)マウル」の異名を持つ、達西区(タルソグ)頭流洞(トゥリュドン)の一角の住宅街を壁画で飾ったもので、大邱でも特に規模の大きい壁画マウル(マウルは村、集落の意)として知られています。
これまでにも何度か紹介してきたように、私にとっての韓国の旅での楽しみのひとつがこうした壁画マウルの探訪です。それではさっそく中に入ってみたいと思います。

 

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 頭流壁画マウルの入口にある案内図。これまた壁画です。

 

f:id:gashin_shoutan:20171211213143j:plainこちらの壁画マウルでは、写真のような順路を示す番号と矢印があちこちに表記されていました。特に案内図を持たなくとも巡りやすくなっています。

 

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頭流壁画マウルの背後に建つのは大邱のランドマーク、大邱タワー。土台の丘を含めると海抜260m、83階相当の高さであることから「83(パルサム)タワー」の異名を持っています。タワーと壁画とのコントラストがたまりません。

 

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頭流壁画マウルを彩る壁画の数々。

 

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こちらの壁画マウルでは、写真の肉まんみたいな頭をしたキャラクターをよく見かけました。作家さんのオリジナルキャラでしょうか。こういうの好きです。

 

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出窓でうたたねする女性の壁画。好きな絵柄なのですが、経年劣化により壁画のペンキがはがれつつあるのが心配です。

 

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頭流壁画マウルでは、写真のような砕いたタイルを組み合わせたモザイク様の壁画をよく見かけました。なんだかなごみます。
この「頭流壁画マウル」、前述したように都市鉄道(地下鉄)2号線「パンコゲ」駅が最寄り駅で、同駅2番出口から徒歩だと約18分(約1.2km)ほどで到達できます。穏やかな気持ちになれる壁画が盛りだくさんのおすすめのマウルです。

頭流壁画マウル(두류벽화마을:大邱広域市 達西区 パドコゲ路8ギル 37 (頭流洞 803-69)一帯。リンク先は案内図の壁画があるマウルの巡回路入口)


ゆっくり見回っていたら、あっという間にムチムフェの店の開店時刻まで30分足らずとなったので、急いでムチムフェコルモクへ戻ります。この日予定していた4回の食事を考えると、一刻も早く食べておきたいですから。

 

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しかし、その帰り道にまた別の壁画マウルを発見。こういう場所を見つけるとどうしても寄らずにはいられない性分です。
こちらは「支援奉仕壁画ギル」といい、「大邱広域市支援奉仕センター」という建物の周囲の路地をさまざまな壁画で彩ったものです。

 

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支援奉仕壁画ギルを彩る壁画の数々。

 

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こちらにもあの肉まんっぽい頭のキャラクターが。頭流壁画マウルと同じ作者さんによるものでしょうか。

 

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先の「頭流壁画マウル」をご訪問の際には、こちらの「支援奉仕壁画ギル」もあわせて訪れることをおすすめいたします。

支援奉仕壁画ギル(자원봉사벽화길:大邱広域市 達西区 聖堂路 291 (頭流洞 776-8)。リンク先は上の案内図のある「大邱広域市支援奉仕センター」の位置)

 

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再びムチムフェコルモクへ。立ち並ぶ15軒前後のムチムフェ屋さんの中から、今回は事前に調べてきた1980年創業の「トルトリ食堂」へ。ちなみに「トルトリ」(똘똘이)とは「おりこうさん」の意。

 

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メニュー表には「ムチムフェ(小)」14,000ウォン(約1,400円:当時)とあります。「小」とは言ってもその分量は2人分。いつものように「1人でも食べられますよ」アピールをして席に着きます。
ムチムフェ(무침회)とは30年ほど前にここ大邱で生まれた料理とされており、前述したように「大邱十味」のひとつにも数えられています。直訳すると「和え物の刺身」となりますが、具材であるイカ、サザエなどの魚介類はいずれも前もって加熱されています。内陸部に位置する大邱ではかつて鮮魚類の入手が難しかったため、必然的にこのようなスタイルになったとのこと。

 

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そしてやって来た器いっぱいのムチムフェ。魚介類とムー(大根)、ミナリ(セリ)が真っ赤なヤンニョムで和えられています。おいしいのですが、見た目の通りに激辛で、食べ進めるのに苦戦します。単に辛いだけではなく若干の酸味もあり、ソジュ(焼酎)やビールには合いそうです(この日は次の訪問予定を考慮して遠慮しましたが)。お酒のおつまみとしてちびちび食べるのが本来のスタイルみたいですね。
メニュー表には14,000ウォンとありましたが、伝票を見ると半分の7,000ウォン(約700円)となっていました。どうやらお店の方が気を利かせて「小」をさらに半分(1人分)にして出してくださったようです。それにしてもあの量で1人分とは。
こちらのお店「トルトリ食堂」の営業時間は午前10時~午前0時、名節(旧正月・秋夕)休業。店内での飲食のほか、ポジャン(포장:テイクアウトの意)も可です。

トルトリ食堂(똘똘이식당:大邱広域市 西区 達句伐大路375キル 31 (内唐洞 895-12))

 

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地下鉄で中央路(チュンアンノ)駅まで戻り、次の目的地へ向かいます。
その途中にあるのが、こちらの「慶尚監営(キョンサンカミョン)公園」。
朝鮮時代、現在の韓国を含む朝鮮半島には全国8道それぞれの長として観察使(監使)という官職が置かれていました。そのうち慶尚道キョンサンド)を受け持った観察使が執務するための統治機関として、1601年に当時の大邱都護府に設置された「慶尚監営」があったのがまさにこの場所です。その後1910年から1965年まで同じ場所にあった慶尚北道庁舎が別の場所へ移転した後、1970年に「中央公園」として造成されたのがこちらの慶尚監営公園で、1997年には改装とあわせて現在の名称に改められています。

  

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慶尚道観察使の執務室である宣化堂(선화당:ソンファダン。大邱広域市有形文化財第1号)。現在の建物は1807年に再建されたものです。その正面には宝物842号「大邱宣化堂測雨台」(대구 선화당 측우대)のレプリカも(本物はソウルの気象庁に保管)。

 

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観察使の居所であった澄清閣(칭청각:チンチョンガク。大邱広域市有形文化財第2号)。現在の建物は1807年に再建されたものです。

 

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大邱随一の繁華街である東城路、および最寄り駅である中央路駅のすぐ近くに位置するこの慶尚監営公園は、かつての慶尚監営の歴史を伝えるのみならず、都市の中央公園としての機能を果たし、今日も大邱の人々の疲れを癒しています。

慶尚監営公園(경상감영공원:大邱広域市 中区 慶尚監営キル 99 (布政洞 21)。史跡第538号)

 

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慶尚監営を通り過ぎた先に、目的地であるこちらの建物「ヒウム日本軍『慰安婦』歴史館」があります。
中国や東南アジアなど侵略先を中心に広範にわたって設置された日本軍の「慰安所」と、そこで性奴隷としての業務に強制的に従事させられ性暴力を受けた元「慰安婦」たちの実態、そして大邱を含む慶尚北道出身の元「慰安婦」の方々の証言とその所持品を展示し、その人生を再照明するための施設として、かつての日本家屋を改装し2015年12月に開館した施設です。
「ヒウム」(희움)とは、この施設を開館した団体「挺身隊ハルモニと共にする市民の会」(정신대 할머니와 함께하는 시민모임)による造語で、「희망을 꽃피음」(「希望を花咲かせる」の意)を短縮した語であるとのことです。

 

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展示物を含む内部は写真撮影可であり、私も実際に撮影してまいりましたが、展示物についてはここではあえて紹介しないことといたします。大邱を訪れる機会のある方であれば、実際に訪問のうえ、直に展示物に触れていただきたいので。
写真は中庭にあったライラックの木。樹齢90年以上とありました。「慰安婦」として日本軍の進撃する先々で蹂躙された女性たちとほぼ同世代の樹木です。

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写真は2階の廊下。この階では地元・大邱の出身であり、主にビルマ(現ミャンマー)の日本軍「慰安所」にてその意に反して「慰安婦」としての業務に従事させられた、文玉珠(문옥주:ムン・オクチュ、1924-1996)さんに関する資料やパネルが中心に展示されていました。
「ヒウム日本軍『慰安婦』歴史館」の開館時間は午前10時~午後6時。日・月曜日は休館日です。観覧料金は2,000ウォン(約200円:当時)。繰り返しとなりますが、大邱を訪れる機会のあるすべての日本人が実際に訪問し、史実に、そして被害者たちの告発に接していただきたい場所です。

ヒウム日本軍「慰安婦」歴史館(희움‘위안부’역사관:大邱広域市中区慶尚監営ギル50 (西門路1街 79-1)) [HP]

 

 それでは、次回のエントリーへ続きます。

大邱の旅[201706_02] - 15年前の地下鉄火災を記憶し悼む空間、そして2つの「大邱十味」を味わう

 

前回のエントリーの続きです。

 

韓国・大邱(テグ)広域市を中心に巡る旅の1日目(2017年6月9日(金))です。

「平和の少女像」から国債報償路を西へ向かって歩き、地下街への入口を下って、都市鉄道(地下鉄)1号線「中央路」(チュンアンノ)駅へ。この駅の名は、およそ15年近く前に日本でも報道されたニュースでご記憶の方もいらっしゃることでしょう。
2003年2月18日午前9時53分、この駅への到着直前だった地下鉄1079列車の車内で、突如一人の男性がガソリンを車内にまき点火。この当時の車両や駅は可燃材が多数用いられており、火の手はたちまち車両全体に、そして到着した中央路駅構内へと拡大します。この電車の乗客の大半は駅到着後に脱出できたものの、まもなく対向ホームに到着した1080列車は乗務員が誤ってドアを閉じてしまったため、引火した炎と有毒ガスにより1079列車よりも多くの乗客が犠牲となりました。「大邱地下鉄放火事件」あるいは「2.18大邱地下鉄火災惨事」などと呼ばれるこの事件では、実に192名もの尊い命が失われています。

 

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この火災により中央路駅構内は全焼し、その設備のすべてが焼け焦げ、壁面は煤で覆われました。それらの一部を当時のまま保存し、この事件の記憶と犠牲者の追悼のため同駅構内の一角に設けられたのが、写真の「2.28大邱地下鉄火災参事記憶空間」です。壁面には犠牲者192名の名前と生年が。

 

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記憶空間の入口横には、犠牲となった方々の名前が刻まれた「追慕壁」があります。黙祷をして、写真を撮影します。

 

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記憶空間に展示されている、当時の駅構内の備品の数々。何らかの案内板と思しき板は表面が溶けています。そして煤けた壁面には、犠牲者を悼む無数の言葉が。

 

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キオスク。おそらく当時からこの場所にあったと思われます。物品が散乱した店内、そして事件当日の日付の新聞。2003年2月18日のまま、時が止まっています。

 

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記憶空間周辺の駅通路には、犠牲となった方々の遺品が展示されています。やりきれない思いに襲われます。

  

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事件以降の大邱地下鉄の取り組みを紹介したパネル。事故後、大邱に限らず韓国では鉄道車両・駅構内ともに徹底した不燃対策が施されるようになり、またホームには防毒面を収納したケースが設置されるようになりました。
「2.18大邱地下鉄火災惨事記憶空間」は都市鉄道(地下鉄)1号線「中央路」駅の構内、3・4番出口側(北側)の改札手前にあるため、地下鉄の運行時間帯であれば無料で入場できます。安全設備の不備による惨事の犠牲者を悼み、その事実を直視し記憶すること、そしてこれらを未来へ継承すること。その大切さを改めて思い知らされます。

2.18大邱地下鉄火災惨事記憶空間(2.18 대구지하절 화재 참사 기억공간:大邱広域市 中区 中央大路 424 (南一洞 143-1) 中央路駅構内)

 

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1号線に乗って4つ先の「嶺大病院」(ヨンデピョンウォン)駅へ移動。時計はすでに午後8時を回っていましたが、沖縄を除けば日本よりもずっと西に位置する大邱の空はまだほの明るいです。嶺大病院駅からは<순환(循環)3-1>番バスに乗車。

 

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隣接する寿城区(スソング)にある「トゥルアンギル初等学校前」バス停で下車。ここからトゥラル路(トゥルアンギル)を南へ5分ほど歩いた場所に、この日の夕食目当てのお店「美成(ミソン)ポゴ トゥルアンギル本店」があります。
店名の「ポゴ」とはフグ(河豚)のことで、こちらのお店は大邱を代表する10種の料理「大邱十味」にも数えられる料理「ポゴプルコギ」(フグの鉄板妙め)の元祖とされています。1978年創業、駐車台数からも分かるようになかなかの人気店です。

 

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メニューを見ていたところ、店員さんが20%割引中の「ミルボクモドゥム(サバフグの全部入り)プルコギ」19,500ウォン(約1,950円:1人分)を熱心にすすめるので、こちらにします。

 

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やって来たミルボクモドゥムプルコギ(写真は2人分)。別売トッピングのニラやモヤシ、タンミョン(春雨を太くしたような麺)が最初から入っているので「モドゥム」。店員さんが目の前で炒めてくれます。いい色のヤンニョムソースがからまって見るからにおいしそう。香ばしい匂いが漂います。

 

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ミルポク、最初の一口。淡白ながらもうまみの凝縮された味。ヤンニョムソースは見た目ほど辛くはありません。ああ、かなりうんまい。これは止まらん。ビールにもよく合います。

 

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こちらの黄色い液体は、パンチャン(おかず)のタンホバンムルキムチ(カボチャの水キムチ)。自慢の一品のようで、おいしかったです。

 

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あらかた食べ終わった後は、お楽しみのポックンパで締め。当然こちらもうんまい。

 

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帰りがけ、厨房のそばでは「ポゴチリ」(복어지리)らしき料理が出番を待っていました。ポゴチリとは澄んだスープのフグ鍋のことで、日本の「(ふぐ)ちり」が語源のようです。辛いスープの「ポゴタン」とは明確に区分されています。
「美成ポゴ トゥルアンギル本店」の営業時間は午前10時~午後11時、名節(旧正月・秋夕)当日は休業。私のように地下鉄とバスを乗り継いで行くほか、最寄り駅である都市鉄道(モノレール)3号線「黄金」(ファングム)駅から徒歩約15分(約1km)で行くこともできます。

美成ポゴ トゥルアンギル本店(미성복어 들안길본점:大邱広域市 寿城区 トゥラル路 87 (上洞 127-)))

 

お腹は大分たまっていますが、せっかく9ヵ月ぶりに食都・大邱へ来たのですから、もう1件くらいハシゴしたい。そこでタクシーに乗り、「平和の少女像」と同じ国債報償路沿いにある中区庁(区役所)まで戻ります。

 

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この中区庁近くの裏路地を入ったところに、目的の店「ワンゴミ食堂」があります。酒場らしい雰囲気にあふれたこちらのお店、裏路地というロケーションもまたたまりません。

 

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壁面にはメニューと、SBSの人気番組『ぺク・チョンウォンの3大天王』の取材を受けた際の写真が。司会のぺク・チョンウォン(백종원:白種元。中段のグレーの服を着た男性)氏は韓国の著名料理人兼タレントで、日本にも店舗のある「セマウル食堂」など複数の飲食店を経営する実業家でもあります。この番組は惜しくも終了してしまいましたが、私が通っているお店も複数登場し、個人的に参考にしている番組です。そういえば先ほどの「美成ポゴ」にも同番組の取材時の写真がありました。

 

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まずは2大人気メニューのひとつ、センコギ(생고기:牛の生肉)。名前こそ異なりますが、大邱十味のひとつ「ムンティギ」と同じです。来た時点では完売だと聞いたのですが、幸運なことに100g分だけ残っていました。なんていい肉色。

 

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センコギは写真左のヤンニョムジャン(つけダレ)につけて食べます。唐辛子ベースと思しきヤンニョムにごま油、ニンニクなどが入り、ぺク・チョンウォン氏をして「魔性のヤンニョムジャン」と言わしめたこちらのヤンニョムジャン。センコギのおいしさを引き立てます。うんまい。

 

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そしてもうひとつの人気メニュー、オドゥレギ(오드래기)。こちらも100g。白い部位はなんと牛の大動脈。これと肉をコショウなどのスパイシーな味付けで妙めたものです。大動脈のコリコリした食管がたまりません。これまたうんまい。ソジュ(焼酎)との相性がぴったりです。大邱を含む慶尚北道キョンサンブット)の地ソジュ「マシンヌンチャム」で一杯。

 

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「ワンゴミ食堂」の営業時間は午後5時~午後11時30分、日曜定休。土曜日はセンコギの扱いはないそうですのでご注意願います。肉がおいしくて、個人的にお気に入りのお店でした。今度はお腹がすいた状態で訪問したいですね。

ワンゴミ食堂(왕거미식당:大邱広域市 中区 国債報償路 696-8 (東仁洞4街 179))

 

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ホテルまでの帰り道、東城路(トンソンノ)付近の路地。人はなぜ路地裏に惹かれるのか。

歩いてホテルヘ向かっているうちに、猛烈に冷麺が食べたくなりました。しかし時刻はすでに午前0時過ぎ、日中はあんなに賑やかだった東城路沿いの店舗はどこもシャッターが降りています。そこで大邱駅の少し手前で東城路を左に折れて、北城路(プクソンノ)へ。

 

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この北城路には日帝強占期に建てられた日本式の家屋が現在も数多く残っており、近年は内部をリノベしておしゃれなカフェなどに再活用されています。そんなわけで1件くらいは深夜営業の飲食店があるかと思った次第ですが、写真のようにどこも真っ暗。

 

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そんな中でただひとつ開いていたのがこちらのお店。吸い込まれるように入ったものの、こちらもまたカフェであり、残念ながら目当ての冷麺はないとのこと。しかしこちらの店員さんは私が外国からの旅行者と見るや、深夜の珍客(それもお金にならない)にもかかわらず、やはり日帝強占期の建築という建物内を親切に案内してくださいました。

 

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日帝強占期に塩を保管していた倉庫を再活用したというこちらのお店、その名もずばり「北城路ソグム倉庫」(ソグムとは「塩」の意)。元が倉庫だけあって内部は広々としています。
こちらのお店「北城路ソグム倉庫」の営業時間は午後2時~午前2時、日曜定休。いつか今回のお礼も兼ねてお茶を飲みに行きたいと思います。

北城路ソグム倉庫(북성로 소금창고:大部広域市 中区 慶尚監営1キル 81 (太平路2街 16-5))

 

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こちらも日本家屋を再活用した「北城路工具博物館」。夜ゆえの情感が漂います。

以前にも書きましたが、これら朝鮮半島に残る日本家屋あるいは日帝強占期の近代建築などは、その意図や役割にかかわらず日本による支配、収奪の一環で建てられたものです。そしてこれらの建物はそれ自体の文化財的価値以上に、そうした支配・収奪を「記憶」するものであること、また光復(日本の敗戦による解放)後に朝鮮半島の人々が大事に活用してきたことにこそ価値があり、それゆえ訪れてみたいとの考えを私は抱いています。

そして結局、冷麺はあきらめてホテルへ帰り、次の日のため眠りにつくのでした。
それでは、次回のエントリーヘ続きます。

大邱の旅[201706_01] - 東城路(トンソンノ)近辺のスポット巡り、そしてまたあのひとに会いに

今回からは、本年(2017年)6月9日(金)から同月11日(日)にかけての大邱(テグ)広域市の旅をお届けします。

韓国有数の大都市である大邱広域市の人口はおよそ250万人。韓国では4番目ですが、3位の仁川をソウルと同じ首都圏として一体だと考えるならば韓国第3の都市と呼ぶべき存在です。市域の人口規模に加え、首都ソウルと第2の都市・釜山の間、それもやや第2の都市寄りに位置する点など、個人的には日本の名古屋と似ている印象があります。
大邱には名所・旧跡など観光地が無数にあり、また近年は商業施設も発達していますが、私にとって大邱といえば何と言ってもやはり「食都」。後述する「大邱十味」に代表される、他地域に類を見ない独特の食文化が花開いているからです。このあたりも名古屋に似ていますね。

大邱広域市では食都・大邱を彩る郷土料理の中でも特に代表的とされる10種のメニューを選定し、「大邱十味」(대구십미)と名付けて街の広報に広く用いています。
それではこれら「大邱十味」のうち、前回・2016年9~10月の旅で味わうことのできたメニューとその店を簡単に紹介したいと思います。

 

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「タロクッパ」(따로국밥)。
大邱十味の中でも筆頭格に挙げられる料理。一般的なクッパとは異なり、牛骨スープとご飯が「タロ」(따로:別々の意)で出されるためにこの名が付いたとされています。スープの中に「ソンジ」(牛の血を固めたもの)が入っているのが特徴。写真は都市鉄道(地下鉄)1号線「中央路」(チュンアンノ)駅近く、タロクッパの元祖とされる1946年創業の「クギルタロクッパ」にて。24時間営業。

クギルタロクッパ(국일따로국밥:大邱広域市 中区 国債報償路 571 (前洞 7-1))

 

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「ナッチャンマンドゥ」(납작망두)。
直訳すると「ぺたんこ餃子」の意で、タンミョン(春雨を太くしたような透き通った麺)などの具を包んだ平べったいクンマンドゥ(焼き餃子)。具以上に焼いた皮の香ばしさを味わえる一品です。写真は都市鉄道(モノレール)3号線「新南」(シンナム)駅近く、ナッチャンマンドゥの元祖とされる「ミソンダンナッチャンマンドゥ」にて。営業時間は午前10時~午後9時(週末は午後8時)、名節(旧正月・秋夕)休み。

ミソンダンナッチャンマンドゥ(미성당납작망두:大邱広域市 中区 南山路75-1 (南山洞 104-13))

 

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「マクチャングイ」(막창구이)。
牛の第四胃であるマクチャン(막창:日本でいうギアラ。直腸のマクチャン(막장)とは別)を輪切りにして焼いたもので、ビールやソジュ(焼酎)との相性が抜群の一品。テンジャン(韓国味噌)ベースのつけダレがまた絶品なのです。写真は都市鉄道(地下鉄)1号線「アンジラン」駅近くに広がる「アンジランコプチャンコルモク」(コルモクとは路地、通りの意)にある「アンジコプチャン」にて。営業時間は午前10時~午前4時、毎月第1・第3日曜休業。

アンジコプチャン(안지곱창:大邱広域市 南区 大明路36キル 63 (大明洞 872-9))

 

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「ヤキウドン」(야끼우동)。
日本の「焼きうどん」とは全く異なり、ウドン麺を海鮮などと一緒に唐辛子風味のソースで妙めた料理。辛いのですがやみつきになる、食べだしたら止まらない味。大邱では主に中国料理店で扱われています。写真は都市鉄道(地下鉄)1号線「中央路」駅近く、ヤキウドンの元祖とされる「中和飯店」(チュンファバンジョム)にて。営業時間は午前11時30分~午後9時、毎月第2・第4月曜休業。

中和飯店(중화반점:大邱広域市 中区 中央大路 404-11(南一洞 92)

 

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「ムンティギ」(뭉티기)。
ソジュに合う生肉料理として開発された大邱オリジナルの調理法で、いわゆるユッケとは異なり牛生肉を親指大の薄切りにして、ごま油・ニンニク・唐辛子粉のヤンニョム(調味料)に漬けたものです。風味に加えプリプリした食感がたまりません。写真は都市鉄道(地下鉄)1号線「聖堂(ソンダン)モッ」駅近く、「愉快なムンティギ」にて。営業時間は午後5時30分~午前2時、日曜定休。

愉快なムンティギ(유쾌한 뭉티기:大邱広域市 達西区 野外音楽堂路 3 (聖堂洞 830-1))

 

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「東仁洞チムカルビ」(동인동 찜갈비)。
1970年代初頭に中区東仁洞(トンインドン)に現れた料理で、一般的なカンジャン(醤油)ベースのカルビチムとは異なり、蒸した牛カルビを唐辛子粉とニンニクで味付けしたもの。年季の入った洋銀製の鍋に入って出てくるのが特徴。猛烈なニンニク風味とほどよい辛さは食べる者をとりこにします。写真は「東仁洞チムカルビコルモク」にある「鳳山(ポンサン)チムカルビ」にて。営業時間は午前10時~午後10時。
鳳山チムカルビ(봉산찜갈비:大邱広域市 中区 東徳路36キル9-18(東仁洞1街332-3))

 

以上の通り、前回の旅で味わうことのできた大邱十味は6種類。今回の旅で大邱十味を制覇するためには、2泊3日、およそ43時間の滞在時間の中で残る4種を口にできるかにかかっています。
前置きが長くなりましたが、それでは旅レポヘ。

 

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今回の大邱訪問に利用したのは、昨年(2016年)9月から就航したt'way航空の成田-大邱便。その同じ月に行って以来、およそ9ヵ月ぶりの訪問となります。
大邱国際空港は仁川・金浦・金海(釜山)の各国際空港とは異なり、軍民共用の空港です(NAVER地図Daum地図の航空写真でも森林に擬装されています)。そのため滑走路の撮影は禁止されており、着陸後には客室乗務員より毎回その旨のアナウンスがなされます。わずかながら緊張感が高まるひとときです。

 

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大邱国際空港に到着。日本発着便など国際線が増加の一途にある同空港ですが、リムジンバスはありません。その代わり空港ターミナルから徒歩約3分、ターミナル正面の道路を渡ってすぐの「大邱国際空港ゴンノ」(대구국제공항건너)バス停(写真)からは、大邱最大の繁華街・東城路(トンソンノ)方面へ向かう<급행(急行)1>番バスや東大邱大邱の両鉄道駅へ向かう<401>番バスなど、市の中心部へ向かうバスが頻繁に走っています。「ゴンノ」(건너)とは「向かい」の意で、道路を挟んだ向かい側にあることを示しています。

 

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一方、中心部からのバスが到着する空港寄りのバス停は「大邱国際空港アプ」(대구국제공항앞)。「アプ」(앞)とは「前」の意。このように大邱市内のバス停は、近隣の施設名の後に「アプ」と「ゴンノ」を付けたり、地名の場合だと後ろに数字を付けたりするなどして明確に区分されており、進行方向を問わず同一名称のバス停がほぼ存在しない点が特徴です。
それと写真右上にあるように大邱市内のバス停にはたいてい二次元コードQRコード)が表示されており、スマホでこれを読み取ると、次の便がそのバス停に到着するまでの時間が路線別にリアルタイム表示されるサイトにアクセスできます。ちなみに写真の「大邱国際空港アプ」はこんな感じ。いちいちアプリをダウンロードする必要がないのでとても便利です。今回の旅ではかなり重宝しました。

今回の宿は大邱駅のそばですので、ゴンノから401番バスに乗車します。

 

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大邱駅。現代百貨店が入居する立派な駅ビルですが、KTXは隣の東大邱駅に停車するためすべて通過します。
ホテルの部屋に荷物を置き、まずは最初の目的地まで散策を兼ねて歩くことに。

  

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最初にやって来たのは、大邱駅から南へ伸びる東城路を途中で左に入った場所にある、在来市場「校洞市場」(キョドンシジャン)前の道路で展開されている「校洞トッケビ夜市場」。「トッケビ」(도깨비)とは日本でいう「小鬼」に相当するもので、それっぼいキャラクターのイラストも。

 

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大邱の夜市場といえば西門市場(ソムンシジャン)のそれが有名ですが、こちらは大邱でも最初の夜市場であり、西門市場の先輩にあたります。とはいえ屋台は10台前後とずっと小さく、地域密着型のこぢんまりとした夜市場といった印象です。
「校洞トッケビ夜市場」の開催時間は毎日午後6時~午前0時。この日(6月9日)は金曜日でしたが、毎週土曜日の午後6時~午後9時にはフリーマーケットも開催され、いっそう賑わうようです。

校洞トッケビ夜市場(교동도깨비야시장:大邱広域市 中区 校洞キル 40 (校洞67-12) 一帯)

 

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続いて向かったのは、大邱随一のコミック専門店である「コミックプラザ」。
ソウル・弘大入口(ホンディック)の「BOOKSAETONG文庫」や釜山・西面(ソミョン)の「コミックセサン・ブックカルチャー」などと並び称されるこちらのお店では、日本のコミック・ライトノベルの公式韓国版や韓国作家によるそれら書籍を大量に扱うとともに、店内には交流スペースが設けられています。

 

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ちょうどこの日(6月9日)は韓国でも大人気のあのアニメこちらのキャラクターの誕生日であり、壁面はそのイメージカラーである紫色一色に染められていました。

 

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店内にはいたるところにフィギュアが。このあたりは日本のコミック専門店とは大きく異なるポイントです。ちなみに写真3枚目は今回購入した本。とうとう日本語版の最新刊に追いついてしまいました。

こちらのお店「コミックプラザ」の営業時間は午前11時(平日は午前10時)~午後9時。購入ごとにポイントがたまるポイントカードも無料で発行してもらえます。なお、以上の店内写真はすべて許可を得た上で撮影・公開しています。

コミックプラザ(코믹프라자:大邱広域市 中区 慶尚監営キル 184 (文化洞 6-2)) [HP]

 

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次に向かったのは大邱でも数少ない両替所「大信換銭」(テシンファンジョン)。ノボテルアンバサダー大邱の東側の隣にあるこちらのお店は好レートで評判がよく、前回(2016年9月)の大邱訪問でも利用したところです。
こちらのお店はサジャンニム(店主の意)が一人で運営しているらしく、営業時間中でも外出中には鍵がかかっていたりするのですが(前回訪問時がそうだった)、その旨と連絡先の携帯番号を書いた張り紙が今回はありません。よく見ると営業時間が短縮されたようで、この日(午後7時近く)はすでに閉店後。また今度来ることにしましょう。

大信換銭(대심환전:大邱広域市 中区 国債報償路125キル 6 (公平洞 9))

 

さらに南へ下り、「2.28記念中央公園」の北端、国債報償路(クッチェボサンノ)沿いにあるこの日最大の目的地へ。

 

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「平和の少女像」。
今年(2017年)春、大邱では2番目となる像がこの場所に設置されたと聞き、会いに来ました。
釜山・草梁(チョリャン)とソウルの「戦争と女性人権博物館」に続き、今年3度目の出会いです。足元には誰かが供えた花束がありました。

 

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少女が老いた姿である地面の影は、元「慰安婦」のハルモニたちの苦痛に満ちた人生を意味します。その影の心臓の位置にある白い蝶は、亡くなったハルモニたちの「転生」を意味するものです。

 

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釜山の像と同じく、その両サイドの地面には碑が埋め込まれています。向かって左側は「살구꽃 봉오리」(アンズの花のつぼみ)と題された詩が。右側は「平和の少女像」の意匠の持つ意味を解説したもので、釜山にあったものと同内容と思われます。

 

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像の隣には、付箋紙によるメッセージが無数に貼り付けられた木の造形物が。

 

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少女像は今日も静かに椅子にたたずみ、対面した相手の心をも射抜くようなその眼差しで、過去の戦時性奴隷制度と戦時性暴力被害の忘却を期する人々、そしてそれを看過する人々を見つめ続けています。

平和の少女像(평화의 소녀상:大邱広域市 中区 東城路2キル 80 (文化洞 20-1) 2.28記念中央公園)

 

在釜山日本総領事館の裏(前ではない)にある「平和の少女像」、そしてソウルの「戦争と女性人権博物館」については、以下の各エントリーにてそれぞれ紹介しております。こちらもあわせてお読みいただけますと幸いです。

 

それでは、次回のエントリーへ続きます。

 

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