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Twitter https://twitter.com/gashin_shoutan の別館です。
主に旅での出来事につき、ツイートでは語り切れなかったことを書いたりしたいと思います。

泰安の旅 - 広大な干潟がもたらす春限定の味覚「ポンソルゲ」(アナジャコ)を味わう

本来ならば今回は本年(2017年)2月の釜山の旅の続きなのですが、今回は特別編として、ちょうど1年前の本日(4月9日)に0泊の弾丸で出かけた、忠清南道(チュンチョンナムド)・泰安(テアン)の旅を紹介したいと思います。

 

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深夜の羽田空港。前回(2016年3月)の江原道の旅に続き、この日もピーチの深夜発の羽田~仁川便を利用。この便が登場したおかげで、旅の1日目がより有効に活用できるようになりました。

 

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仁川国際空港に到着。空港鉄道「A'REX」の「仁川国際空港」駅から一般列車の始発に乗車し、「桂陽」(ケヤン)駅で仁川地下鉄1号線に乗り換え。写真は仁川地下鉄1号線の車内。これまで韓国では大田(テジョン)を除く全5都市の地下鉄に乗車してきましたが、通路の上に太極旗が貼られているのは初めて見ました。

 

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「仁川ターミナル」駅で下車、地上に出たすぐにこの「仁川総合バスターミナル」( 인천종합터미널)があります。300万都市を代表するバスターミナルだけあってなかなか立派です。

 

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広い内部は吹き抜けになっていて、その内側には各路線の時刻表が。かなりの本数が出ていることが分かります。

 

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妙にかっこいい電光掲示板。もちろんこれがすべてではなく、行先の地方ごとにローテーション表示されます。向かって左側、オレンジの方は「市外バス」(시외버스)、右側の緑の方は「高速バス」(고속버스)であり、韓国では明確に区分されています。

 

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今回はこちらの市外バスで、目的地の泰安へ。
この日(4月9日)、同じ韓国でも慶尚南道キョンサンナムド)昌原(チャンウォン)市の鎮海(チネ)やソウルの汝矣島(ヨイド)などでは大規模な桜祭りが、また全羅南道(チョルラナムド)の珍島(チンド)では天童よしみさんの歌でも有名な海割れ祭りが開催されていました。その一方で私はそんなお祭りの数々を横目に、この時期限定の味覚を味わうために泰安へと向かったわけです。まさに花より団子。

 

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本来の所要時間は1時間50分ですが、この日は8分遅れで「泰安バスターミナル」(태안버스터미널)に到着。忠清南道にやって来たのは初めて。

 

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泰安バスターミナルには、コインロッカーがありました。韓国の地方のバスターミナルではコインロッカーがないところが多々あるので、こうした姿を見る度にうれしくなってしまいます。ただし今回は日帰りで荷物が少ないので使用せず……

 

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写真からも分かるように、この日は濃い霧が街を覆いつくす中を、ターミナルから市街地方面へ歩いてゆきます。
しばらく歩くと、泰安の2大在来市場のひとつ「泰安特産物伝統市場」(태안특산물전통시장:テアントゥクサンムルジョントンシジャン)が。「泰安常設市場」(テアンサンソルシジャン)とも呼ばれるこちらの市場は、日用雑貨の販売がメインです。

 

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そんな特産物伝統市場の一角には、獲れたての海産物を販売し、店内で賞味できる店舗も。しかし、まだ午前9時台ということもあり、どこも開店準備中です。
ここ忠清南道泰安郡一帯は、その名を冠した「泰安海岸国立公園」を含む西海(黄海)に面しており、また干潮時には広大な干潟が形成されることから、これらからもたらされる海の幸の豊富さで知られています。中でも有名なのは、ここ(泰安邑)と同じ泰安郡内にあり観光地としても知られる安眠島(안면도:アンミョンド)の名物「ケグッチ」(게국지:名産のワタリガニとキムチを煮込んだ鍋料理)ですが、今回は目的である旬の食材を味わうため断念。いつか食べてみたいものです。

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続いて、特産物伝統市場の西側一帯に展開する「泰安西部市場」(태안서부상가:テアンソブシジャン)へ。こちらは食品メインの市場であり、山の幸も海の幸もまんべんなく販売されています。大好きな韓国在来市場の雰囲気。何度訪れてもたまりません。市場のアーケード入口に掲げられたコッケ(ワタリガニ)さんのキャラもいい感じです。

 

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思えばこの日は、仁川国際空港のコンビニで買ったおにぎりしか食べていません。そんなわけでまずは腹ごしらえ。
ここ泰安西部市場には小さな飲食店街もあり、今回の旅最初のちゃんとした食事は、その中に店を構える「パジョンカルグクス」(파전칼국수)という店にて。

 

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こちらは2人の女性がサジャンニム(店主)として切り盛りするお店で、元々は店名にもある通りパジョン(ネギ入りのチヂミ)も出していたものの、来客が名物のカルグクスばかりを注文するため、写真のメニュー表にもある通りいつの間にかカルグクス一本となってしまったとのこと。
そんなわけで私も、名物のカルグクスを注文。

 

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出てきたのは、一般に「パジラッカルグクス」(바지락칼국수)と呼ばれるもの。「パジラッ」(바자락)とはアサリのことで、手打ちならではのやや不揃いの太麺に、泰安の浜で毎朝獲ってくるという大粒のアサリがたっぷり乗っています。
ずるずる。讃岐うどん並みに歯ごたえのある麺にアサリのダシが効いたスープ、そしてぷりっぷりのアサリ。これは、うんまい。あっという間に完食。
あまりのうまさに次の食事のことも忘れて、お店の方がすすめて来られた替え玉をまたずるずる。こちらも完食。
このボリュームで、なんと3,000ウォン(約300円)。替え玉はもちろんサービス。泰安を訪問された方にはぜひご賞味いただきたい一品です。

パジョンカルグクス(파전칼국수:忠清南道 泰安郡 泰安邑 市場1ギル 34 (南門里 170-4))

 

続いていよいよ今回のメインの食事……と言いたいところですが、さすがにすぐにはお腹がすかないので、まずは西部市場内の海産物売り場を物色します。
今回目当ての食材は季節性が強いだけあって、本場・泰安でさえもその専門店はないとのこと。そのためまずはその食材を市場内で購入し、そのまま持ち込んで調理してくれる飲食店に持ち込む必要があるためです。
このように在来市場で購入した海産物を持ち込んで有料で刺身やヘムルタン(海鮮鍋)などに調理してくれる飲食店は、ソウル・鷺梁津(ノリャンジン)水産市場のそれが有名ですが、ここ泰安西部市場を含め実は地方の在来市場でも普通に見られるものです。

f:id:gashin_shoutan:20170409145437j:plainこちらこそが今回の泰安行き最大の目的、泰安の広大な干潟で獲れる「ポンソルゲ」(뻥설게)。日本でいうアナジャコです。韓国では一般にソッ(쏙)と呼ばれるものですが、干潟に形成された巣穴から抜き取る際の「ポン」という音から、ポンソルゲの異名でも呼ばれています。また、ここ泰安地方の方言では「ソルギ」(설기)と呼ばれるとのこと(そのため西部市場で「ポンソルゲ」と呼んでも通じなかったという……)
アナジャコ自体は通年の食材ですが、産卵期である毎年3~4月には写真のように黄色い卵を抱き風味がより一層増すことから、特に旬とされています。

 

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向かって左がポンソルゲ、右はケッカジェ(갯가재:日本でいうシャコ)。同じ「シャコ」が付くとはいえ、生物学上はかなり遠い間柄です。

さてようやくポンソルゲ入手のめどは立ったものの、調理してくれる市場2階のお店には鍵が。つたない韓国語で近くのお店の方に聞いてみると、サジャンニムはおそらく13時にならないと来ないとのこと。時計はまだ午前中。仕方ないので腹ごなしを兼ねて西部市場そばの沐浴湯(銭湯)でひとっ風呂浴びたりしつつ、時間をつぶします。

 

13時から少し遅れて、ようやく中尾彬さん似のサジャンニムが登場。早速、15,000ウォン(約1,500円)で購入したポンソルゲ1kgの調理を依頼します。

 

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そうして待つこと約30分、登場したのがこちらのタン(탕:スープ)とティギム(튀김:天ぷら)。ポンソルゲの殻は柔らかいので、殻も脚もまるごと食べることができます。さっそくひと口。うんまい。香ばしい匂いが鼻腔をくすぐります。お腹に抱いた卵もいい味出しています。どちらもおいしかったですが、個人的にはティギムが好みです。
ポンソルゲのおいしい食べ方には、今回登場したタンとティギムのほか、チム(찜:蒸し)もあるとのこと。いつかこちらでも食べてみたいですね。

 

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忠清道の地ソジュ、「O2린」(オーツーリン)。ポンソルゲタンによく合います。

 

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今回このポンソルゲを食べたお店「ムルガ マシッケモンヌンナル」(물가 맛있게먹는날)は、お通し代(1人あたり5,000ウォン)と調理代(1kgあたり10,000ウォン)の計15,000ウォン(約1,500円)でこれだけの調理をしてもらえました。持ち込んだポンソルゲ1kgが同じく15,000ウォンでしたので、合計30,000ウォンということになります。
市場内にかけられた天幕には12:00~22:00営業とありましたが、前述の通りこの日の開店は13時過ぎとなりました。

ムルガ マシッケモンヌンナル(물가 맛있게먹는날:忠清南道 泰安郡 泰安邑 市場1ギル 34 (南門里 171-2)) [HP]

 

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おなかいっぱいになったところでバスの時間。帰りは2&1シートのソウル・セントラルシティターミナル行き優等バスで泰安を後にします。今回の泰安での滞在時間はわずか6時間半、ただ食べてばかりの旅でしたので、次は安眠島などの観光地を含めゆっくり旅してみたいものです。

 

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ちなみにこの日はソウルへ戻った後、新村(シンチョン)にある現代百貨店U-PLEXで開催中だった「ロボットテコンVリターンズ」展を見てまいりました。
『ロボットテコンV』(로보트 태권V)とは、1976年に劇場版第1作が制作され、40年あまりを経た現在でも絶大な人気を誇る韓国の巨大ロボットアニメです。2015年にはリメイクの映画も制作されたのでそちらをご記憶の方もいらっしゃるでしょう。韓国でも大人気だった『マジンガーZ』のパクリだと非難する人もいますが、その名の通り格闘技であるテコンドーを駆使して戦う点で、それまでの日本製巨大ロボットアニメとは一線を画す作品です。
この展示では歴代テコンVの巨大フィギュアやセル画、当時のグッズなどを展示。店内5か所に設置された歴代テコンVを巡ると特製ポストカードがもらえるスタンプラリーもあったりしてなかなか楽しめました。
このイベントはすでに終了しておりますが、ここソウルには『ロボットテコンV』の常設テーマパーク「Vセンター」(V센터)もあります。こちらもいつか行ってみたいものです。

その後は22時台のピーチ便に乗って再び羽田空港へ。とはいえ到着時点ですでに終電は出た後ですので、空港内のベンチに座って眠りつつ始発まで過ごす私でした……

 

泰安の旅、お読みいただきありがとうございました。
次回からはまた、2017年2月の釜山の旅に戻ります。

 

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