かつてのTwitterアカウント(削除済み)の別館です。
主に旅での出来事につき、ツイートでは語り切れなかったことを書いたりしたいと思います。

今年もありがとうございました。

こんばんは、ぽこぽこです。
今年(2019年)も残すところあとわずか。今年も拙ブログをお読みいただき、誠にありがとうございました。


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昨日(2019年12月30日)、全羅南道順天市「龍山展望台」にて撮影した順天湾湿地。

 

さて、本日は2019年の大晦日。私はいま、全羅南道(チョルラナムド)の順天(スンチョン)市に滞在しています。同じ全羅南道の木浦(モッポ)市などを訪問した後、年越しのために立ち寄ったものです。生まれて初めて韓国の土を踏んだのは忘れもしない約23年前の1997年の元日、日中でも気温は0℃を下回る極寒のソウルでしたが、思えば韓国で年を越すのは初めての経験です。今年最初の韓旅で真っ先に訪れた街であるうえ、その後今日まで4度も訪問し、また個人的に思い入れも強い順天を、人生初の韓国での年越しの場に選択しました。
順天といえばちょうど現在、本年8~9月に訪問した際のエントリーシリーズの更新真っ最中です。できれば年内に完結させたかったのですが、この年末いろいろと立て込んだ関係で越年することとなりました。残るはたぶんあと2回。がんばって更新いたします。


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本日(2019年12月31日)、全羅南道順天市「順天ドラマ撮影場」にて撮影。

 

ところで私の2019年の韓旅は、10~11月のフランスの旅のトランジットで立ち寄ったものを含め全11回と、1年間での史上最多となりました。これらの旅には数えきれないほどの出会いと発見があり、そのいずれも思い出に強く残っています。
2017年がそうであったように、これらの旅のすべてを本ブログにて紹介したいところですが、うち更新中の順天の旅(8~9月)が3ヵ月あまりを要している現状では、今後いつ紹介できるか見当もつきません。なので、今回のエントリーで写真とあわせてごく簡単に触れておきたいと思います。

 

●2月:全羅南道順天市全羅南道木浦市

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今年最初の旅です。うち全羅南道木浦市にある児童福祉施設「木浦共生園」については、訪問当日のツイートでも、そして3月に更新したこちらのエントリーでも大きな反響が得られました。1泊2日の木浦の旅ではこのほか市内に点在する国家登録文化財のすべて(当時)を訪問、また木浦新港ではセウォル号と対面することができました。
旅の後半で体調を崩したため、帰国前夜には釜山にいながら何もできずホテルでじっとせざるを得なかったのも、いまとなっては懐かしい思い出です。


●3月:慶尚南道統営市釜山広域市

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慶尚南道キョンサンナムド)南部の港町、統営(トンヨン)市はこの3ヵ月前に初めて訪問したばかりでしたが、あまりに雰囲気がよく、また時間の都合により主目的地のひとつ「東(トン)ピラン壁画マウル」(写真1枚目)の訪問がかなわなかったための再訪でした。
韓国の街に「旬」があるならば、韓国産の80%を占める名産のカキやムルメギ(和名「ビクニン」)がおいしい冬こそがまさに統営の旬だといえるでしょう。私が訪問したこの時期の風物詩、トダリ(メイタガレイ)とヨモギのスープ「トダリスックッ」(写真2枚目)が季節のメニューに登場する初春もまた統営の旬だといえるかもしれません。これらの時期を狙って再訪したいものです。

 

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ところで統営といえば、昨年12月に訪問した同市の離島、欲知島(ヨクチド)もまた大変印象に残っています。こちらもできれば紹介したいと思っています(余談ですが本年12月14日に欲知島モノレールが開業したと知り驚いています。知らなかった……)


●4月:光州広域市忠清南道天安市、ソウル特別市、京畿道坡州市、忠清南道舒川郡、全羅南道木浦市

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本年3月に就航したチェジュ航空の成田-務安(ムアン)線を初めて利用した旅であるため、務安国際空港への直行バスがある光州(クァンジュ)広域市と木浦市がそれぞれ旅の始まりと終わりになりました。このときは務安午後6時台着、午前11時発とまあまあ利用しやすい時間帯であったものの夏には午後9時台着、午前8時発と利用しづらくなり、秋には利用者低迷によりついに休航となってしまいました。
忠清南道(チュンチョンナムド)天安(チョナン)市では柳寛順(유관순:ユ・グァンスン)烈士の出身地であり、また名物のスンデでも知られる並川(ピョンチョン)マウルを訪問(写真1枚目)。また京畿道(キョンギド)坡州(パジュ)市では臨津閣(イムジンガク)の敷地内に建立された「平和の少女像」の序幕式に参加(写真2枚目)。その過程で、かつてないほど多くの方々との出会いに恵まれた旅となりました。


●5月:光州広域市

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本年で3年連続となった、1980年の「5.18民主化運動」(5.18民衆抗争、光州事件)関連の行事や特別展示、史跡などを巡る旅です。この旅でも39年前の史実を記憶し継承しようとする心ある方々と出会い、お世話になる機会を得ることができました。
写真1枚目は5月27日早朝、全南道庁での最終抗戦にて戒厳軍に射殺された市民軍のスポークスマン、尹祥源(윤상원:ユン・サンウォン)烈士銅像であり、母校のサレシオ高等学校の校庭に建てられているものです。ここへは烈士の2人の弟さん(次男・三男)と一緒に訪問する機会を得られました。その際に撮らせていただいた「3兄弟」の写真は私にとって新たな宝物となりました。
今回の旅では5.18民主化運動関連にとどまらず、光州高等学校の敷地内にある「4.19民主革命歴史館」(写真2枚目)を訪問。1960年4月19日のデモに始まり、その結果として時の李承晩(이승만:イ・スンマン)大統領を退陣に追い込んだ「4.19革命」の一連のデモが韓国で初めて展開されたのが、まさしくここ光州高等学校であることを学びました。


●6月:江原道春川市ソウル特別市、京畿道水原市仁川広域市

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江原道(カンウォンド)春川(チュンチョン)市にて毎年開催されており、今回が6回連続での訪問となる「春川マッククスタッカルビ祭り」。例年は8月未に開催されているこのお祭りが本年から6月開催に変更となったため、このタイミングでの春川訪問となりました。
初訪問の京畿道水原(スウォン)市は、韓国を代表する観光名所のひとつ「水原華城(ファソン)」の城壁を徒歩で一周。現存する施設群、とりわけ写真の龍淵(ヨンヨン)越しに眺めた「訪花隨柳亭(パンファ・スリュジョン)」(写真2枚目)の美しさには心を奪われました。来年・2020年1月日本公開の映画『エクストリーム・ジョブ』にも登場する、水原の新名物グルメ「水原王(ワン)カルビチキン」は時間の都合で口にできなかったため、次回訪問時の宿題です。


●7月:大邱広域市慶尚北道星州郡、慶尚南道陜川郡

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慶尚北道キョンサンブット)星州(ソンジュ)郡では、バスターミナル「星州バス停留場」を訪問。こちらは映画『タクシー運転手 約束は海を越えて』劇中で「順天バスターミナル」として登場し、ソン・ガンホさん演じる主人公マンソプがククスをむさぼるようにすすったあの食堂が実在する場所です。3度目の訪問にしてようやく、あのククスを再現した名物の「ソン・ガンホククス」(写真1枚目)を味わうことがかないました。
続いて訪問した慶尚南道陜川(ハプチョン)郡は、主に広島で被爆した韓国人被爆者が現在も多く居住することから「韓国のヒロシマ」とも呼ばれることもあります。今回はそうした被爆者の方々が治療を受けつつ生活する「陜川原爆被害者福祉会館」の敷地内にある「陜川原爆資料館」(写真2枚目)を訪問。職員の方の計らいにより、今年で89歳になる男性被爆者の方とお話をする機会を得られました。その方には小学3年生当時の広島での被爆体験を伺うのみならず、なんと同郡内の「陜川映像テーマパーク」まで車で送ってくださるなど、不意の親切に触れた旅となりました。


●8月:光州広域市忠清南道保寧市、忠清南道舒川郡、全羅北道群山市全羅南道木浦市

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「マッドフェスティバル」で知られる忠清南道保寧(ポリョン)市では、1970~80年代のたたずまいを残していることから、映画『タクシー運転手 約束は海を越えて』にも1980年の光州市内として登場した、Korail長項線(チャンハンソン)の青所(チョンソ)駅前通り(写真1枚目)を訪問。なお青所駅は長項線の複線電化に伴い、早ければ来年・2020年にも廃駅となる予定です登録文化財の駅舎は保存される見込み)
続く忠清南道舒川(ソチョン)郡では、本年4月に続いて2度めとなる、日帝時代の日本式家屋など古い建物が残る板橋(パンギョ)マウルヘ。敵産家屋でありながら韓国の人々によって大事にされてきたこれら建物のある風景を再び目にしたいという思いに加え、同マウル内にある名店「スジョン冷麺」(写真2枚目)の冷麺の味があまりに恋しく、また前回訪問時に親切にしていただいたご主人の男性へのお礼のためでもありました。来年も機会を見つけて訪問するつもりです。
こちらも2回目の全羅北道(チョルラブット)群山(クンサン)市では、本年6月に開館したばかりの「日帝強占期群山歴史館」を見学。隣接する東国寺(トングクサ)とあわせて、強く訪問をおすすめする施設です。こちらもいずれ本ブログにて紹介いたします。


●8~9月:全羅南道順天市

3泊4日の日程のほぼすべてを順天市内の踏査に費やしたこの旅では、そのすべての移動で事前に調べておいた路線バスを利用するなど、個人的に「史上最も計画通りに進んだ韓旅」となりました。現在もエントリーシリーズを更新中ですので、本エントリーでの詳しい紹介は控えます。


●10月:仁川広域市

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フランスの旅に先立つ仁川国際空港でのトランジットの合間を利用した、個人的に史上最短(9時間)となるこの旅では、仁川市内の富平(プピョン)にある「三菱チュル住宅」と「富平公園」、「富平歴史博物館」を訪問。三菱チュル住宅(写真1枚目)とは、かつて当地にあった三菱製鋼の工場に強制徴用されていた朝鮮人たちの宿舎であった長屋のことです。その多くはすでに解体され、現在は3棟のみが残されていますが、来年にはさらに2棟が解体予定だとのことです。富平公園はその三菱製鋼の跡地に造られたもので、ともに戦時中、そして戦後74年を経て今日も日本人に蹂躙され続けている人々を象った「仁川平和の少女像」と「仁川日帝強占期徴用労働者像『解放の予感』」(写真2枚目)が並び立ちます。そして富平歴史博物館には、そうした史実が数々の収蔵品とともに展示されているほか、当時の三菱チュル住宅の再現展示も設置されています。こちらもご訪問をおすすめする場所です。


●11~12月:全羅南道莞島郡、全羅南道順天市

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1年ぶりとなる韓国の島旅の行き先に選んだのは、今回が初訪問となる全羅南道莞島(ワンド)郡の2つの島。まず所安島(ソアンド)日帝強占期当時、咸鏡南道(ハムギョンナムド)の北青(プクチョン)、釜山の東莱(トンネ)と並んで特に独立運動の激しかった地域とされ、独立運動家89人、建国勲章受章者20人を輩出したことから「抗日の島」と呼ばれます(写真1枚目)。導かれるような思いで訪問した「所安抗日運動記念館」では、お会いした館長様から直々に展示物の解説を聞いたり、さらには車で独立志士の墓所まで送って行かれたりと、またも不意の親切に触れる機会となりました。
続いて訪れた青山島(チョンサンド)ではアワビなど地域の海産物に舌鼓を打ち、韓国映画史に残る名作『風の丘を越えて/西便制』の撮影地(写真2枚目)などを訪問、さらには徒歩で島を横断したりと終始楽しい旅となりました。

 

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帰りがけに立ち寄った順天では、在来市場アレッチャンにある大好きな酒場「61号ミョンテジョン」を訪問。8月の訪問時には膝の手術のため臨時休業していた店主さんの元気なお姿を目にしてほっとするとともに、うんまい料理の数々を久々に口にでき満足しています。


●12月~1月:全羅南道木浦市全羅南道新安郡全羅南道順天市

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現在進行中の旅です。今回の旅では木浦港から高速船に乗り、新安(シナン)郡にある韓国最南西端の離島、可居島(カゴド)を訪問する計画でした。しかし天候不良により海が大荒れとなってしまい、目前の下苔島(ハテド。写真)で引き返す羽目となってしまいました。念願の可居島訪問は新年に預けることといたします。


前述したようにこれらの旅では多くの人々と出会い、また会話をする機会がありましたが、特に7月以降のそれにおいては日本の安倍政権による対韓国での不誠実極まりない態度について話す機会が増えました。またこの頃から訪問先のあちこちで、日本製品不買運動に関する意思表示の横断幕などを頻繁に目にするようになります。
日本における韓国憎悪は安倍政権だけが暴走しているのではなく、悪意的なニュースの取捨選択に留まらず日本政府におもねった事実歪曲すら厭わない日本の報道各社、そしてそれらを消費して溜飲を下げ醜い憎悪感情をそのまま韓国(人)に投影したがる日本の市民たちの共犯関係によるものです。加えて対韓国ではなくとも、朝鮮学校限定での無償化除外という露骨な差別政策に追従し、あろうことか「合法」だと判断した司法もまたその同一線上にあるものです。
まことに恥ずべきことですが、こうした官民一体の韓国憎悪は、程度の差こそあれど老若男女や思想の左右を問わず、この社会であまねく共有されているほぼ唯一レベルのテーマだといえます。事実、本年は日本社会が一丸となり韓国への敵意と憎悪、侮蔑心をあらわにしたさまざまな出来事がありました。昨年末から越年しつつも結局は問題を一方的に拡大した日本側が証拠を示せずうやむやにして終わった「レーダー照射」問題に始まり、韓国政府に民事訴訟である韓国徴用工裁判の判決への介入を迫り、拒否されるや今度は「ホワイト国」除外という筋違いの経済報復、その対抗として韓国市民により展開された日本製品不買運動への嘲笑的態度、さらには東京五輪の観客席における植民地支配と侵略のシンボル、旭日旗の許容。そんな本年は日本人にとって、まさに「2019韓国憎悪の年」といっても過言ではないでしょう。

また、本年8月に曺国(조국:チョ・グク)氏が法務部長官候補に指名され、韓国内で政争となった際には、日本とはほとんど関係ないニュースであるにもかかわらずワイドショー番組がここぞとばかりに取り上げ、同氏やその任命権者である文在寅(문재인:ムン・ジェイン)大統領の人間性、ひいては韓国の「国民性」云々までこぞって娯楽として消費したのは記憶に新しいところです。大方の日本人は事あるごとに韓国人を差別し見下さないと自我が保てない、という事実を改めて示された格好となりました。
そして日本では、安倍政権がこのように政策的に韓国憎悪を扇動をすればするほど支持率が上昇するという実態があるわけです。これはもはや日本政府単独の暴走ではなく、日本人「みんな」の「総意」による憎悪ですよね。私はこれに断固反対する立場ですが、いかなる影響力を及ぼすことのできない一点でその共犯者でしかないわけです。これまでそうしたことは一度もありませんでしたが、今後もし韓国訪問時にそのことで現地の方から責めを受けたとしても、私にはいかなる弁解も許されません。

私が圧倒的少数派に属しているのは重々承知しています。しかし、私たちがここで抗うことをやめれば、想像すらしたくない破局的な結末が訪れるかもしれないのです。
私が、そしてこの文をお読みいただいているあなたが、いままさしく「順天のマンソプ」なのです。

 

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本エントリーの最後に、どうしても紹介しておきたい一文があります。
ソウル・東大門「平和(ピョンファ)市場」における女子被服工への搾取と劣悪な労働環境の改善のため一労働者として立ち上がり、奔走の末に勤労基準法の火刑式の炎にその身をくべた、「美しき青年」全泰壱(전태일:チョン・テイル)烈士(写真)。私の敬愛する烈士がちょうど50年前の今日、1969年12月31日に記した日記の一節です。

 

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올해와 같은 내년을 남기지 않기 위하여
나는 결코 투쟁하련다. 역사는 증명한다.

今年のような来年を残さないよう、
僕は断固闘うつもりだ。歴史は証明する。

この言葉を胸に刻み、来たる2020年もこの社会における「みんな」の「総意」に生きて抗うことを誓います。

 

ごく個人的には仕事が慌ただしかったりと、以前に比べブログ更新が難しい毎日が続いていますが、本ブログが心ある誰かの韓旅の参考となることを願い、今後も更新を続けてまいります。

それでは、よいお年を。
みなさまにとって2020年がとって輝かしい1年となりますように。


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本日(2019年12月31日)、全羅南道順天市「臥温海辺(ワオン・ヘビョン)」にて撮影。

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