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大邱の旅[201706_05] - 大邱が生んだ偉大な歌手を再描写する「金光石タシクリギギル」、そして「北城路練炭プルコギ」

前回のエントリーの続きです。

韓国・大邱(テグ)広域市を巡る旅、2日目(2017年6月10日(土))です。

 

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大邱十味のひとつ「ヌルングクス」の名店「桐谷ハルメソンカルグクス」を出て、近くの「桐谷ネゴリ」(동곡네거리)バス停へ。大邱広域市の西側に隣接する星州(ソンジュ)郡からはるばるやって来た農漁村<250>番バスに乗車し、都市鉄道(地下鉄)2号線「テシル」(대실)駅へ。漢字で書けそうですが表記できない駅名です。写真はテシル駅付近の街並み。前回のエントリーでも紹介した2号線の終点「汶陽」(ムニャン)駅と同じ大邱広域市達城(タルソン)郡多斯邑(タサウプ)内ですが、こちらはかなり都会的な感じです。

 

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30分ほど乗車した後、同線の「慶大病院」(キョンデビョンウォン)駅にて下車。駅の構内には、次の目的地を示す壁画が。

 

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同駅3番出口を出て、大邱を東西に貫通する大通り「達句伐大路」(タルクボルデロ。「達句伐」とは新羅時代の大邱の名称)沿いに東へ向かって7分ほど歩くと、写真のギターを弾く男性の像が右手に現れます。
こちらの人物は、かつて韓国で一世を風靡した大邱出身のシンガーソングライター、金光石(김광석:キム・グァンソク、1964-1996)さん。代表曲のひとつ「二等兵の手紙」(이등병의 편지)と「宛てのない手紙」(부치지 않은 편지)は、日本でも公開された2000年の映画『JSA』(原題『공동경비구역 JSA』:共同警備区域 JSA)でそれぞれ挿入歌・エンディングテーマに用いられましたので、その歌声をご記憶の方もいらっしゃることでしょう。

 

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この像から始まる南北約350mの川沿いの小道は、「金光石タシクリギギル」(김광석다시그리기길:「金光石再描写の道」の意)、あるいは「金光石ギル」(김광석길:「金光石の道」の意)などと呼ばれています。

 

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金光石さんは1964年1月22日、大邱広域市(当時は慶尚北道大邱市)中区大鳳洞(テボンドン)の在来市場「防川市場」(방천시장:パンチョンシジャン)にあった電業社一家の末子として生まれました。1984年、グループ「歌を探す人々」(노래를 찾는 사람들。通称「ノチャッサ」)の一員として歌手デビュー。その後はグループ「動物園」(동물원:トンムロン)を経て、1989年にソロデビューを果たします。それから1995年にかけて発表した6枚のソロアルバム、そして通算1,000回を上回る小劇場でのライブ活動を通じて、韓国を代表する大衆歌手、90年代における韓国モダンフォークの後継者としての地位を不動のものとしました。
そうした人気絶頂の中の1996年1月6日、何の前触れもなく突然、わずか32年弱の人生を自ら終えた金光石さん。老若男女を問わず広く愛されたその人柄と歌の世界を偲んで、出生地である大鳳洞・防川市場のそばを流れる新川(シンチョン)沿いの道をその肖像の壁画で彩り、両端には像を建て、数々のヒットナンバーを流すことでここ大邱が生んだ偉大なフォークシンガーの生涯を「タシクリギ」(再描写)しようとしたのが、こちらの小道「金光石タシクリギギル」です。
現役当時のファンはもちろん、生前の活躍を知らない若い世代もこの小道を数多く訪問するようになり、それら観光客目当てのカフェなども多数立地して、現在では大邱を代表する観光スポットのひとつとなっています。

私にとって「金光石タシクリギギル」の訪問は、前回・2016年秋に続き2度目。しかし、そのときと大きく違うのは、私自身もまた金光石さんの歌を聴くようになったこと。なので前回以上に強い思い入れがあります。

 

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金光石タシクリギギルの壁面には、代表曲のひとつ「二等兵の手紙」を題材にした演劇や、ビデオコンサートと思しきポスターの数々が。

 

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金光石タシクリギギルを彩る壁画の数々。
(壁画の写真に限り、2016年10月に撮影したものを含みます。)

 

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f:id:gashin_shoutan:20180103130822j:plainこれらの壁画は、11組の作家たちが思い思いのテーマ・構図で金光石さんを描いたものです。この道を訪れた人々は、そのひとつひとつに見入っていました。

 

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大型バイクにまたがる金光石さんの壁画。40歳になったら、バイクに乗って世界一周の旅をするのが夢だったといいます。

 

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これら壁画の中でも、個人的にいちばん好きなのがこちらの「ソギネ布車」(석이네 포차:「布車」とは屋台の意)。屋台の主人になった金光石さん。壁画の前には屋台を模した木製のテーブルと椅子が設けられており、誰でも座って記念写真を撮ることができます。

 

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壁画を見て涙が出てきたのは初めての経験でした。

 

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南北に伸びる金光石タシクリギギルの南端にある、ギターを抱えて立つ金光石さんの像。北端(達句伐大路側)の座ってギターを弾く像と同様に、多くの方が像に寄り添っては記念写真を撮っていました。

 

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金光石タシクリギギルの途中には野外音楽堂があり、この日も男性シンガーがギターの弾き語りで金光石さんのナンバーを歌っていました。とてもいい感じで、少しうっとりしてしまいます。休憩を兼ねてしばらく観覧。

「金光石タシクリギギル」へは、都市鉄道(地下鉄)2号線「慶大病院」駅3番出口を出て「達句伐大路」沿いに東へ進み、徒歩約7分(約450m)でギターを弾く像のある入口に到達できます。

金光石タシクリギギル(김광석다시그리기길:大邱広域市 中区 達句伐大路450ギル ー帯)

 

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前述したように、金光石タシクリギギルのすぐ隣には、金光石さんも生まれ育った在来市場「防川市場」が広がっています。1945年の光復(日本の敗戦による解放)後、日本や旧満州中国東北部)などから帰ってきた人々が糊口をしのぐために始めた商売に端を発し、その後6.25(朝鮮戦争)期の避難民の流入により拡大したというこちらの市場は、そばを流れる新川の防築(堤)沿いに発展したことから「防川」の名が付いたとされます。
写真1枚目の市場入口、同2枚目の地図からも分かるように、現在では隣接する「金光石タシクリギギル」と一体化した街づくりがなされています。

 

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飲食店が並ぶ市場の一角を歩いていると、ところどころからギター片手に金光石さんのナンバーを弾き語る歌声が。他地域の在来市場の大半がそうであるように、ここ防川市場もまた衰退の一途にあるとのことでしたが、満席だったり行列が形成された飲食店もいくつか見かけました。「金光石タシクリギギル」との相乗効果で息を吹き返しつつあるのかもしれません。

 

すっかり日も落ちた中、夜の大邱の街を歩いてみたくなり、寄り道をしながら大邱駅そばのホテルヘ帰ることに(後で計算したら3kmくらい歩いていました)。
いったんホテルへ戻り、近くのマート(大型スーパー)で買い物をした後、再び外出。時計はすでに午後11時を回っています。ずいぶん遅くなりましたが、お待ちかねのディナーの時間です。

  

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やって来たのはまたまた北城路(プクソンノ)。今回の旅で3度目の訪問です。今回はこの道を通り抜けた先にある、名物の「北城路練炭プルコギ」の店が密集する場所が目的地です。

 

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そしてやって来た、通称「北城路練炭プルコギ通り」。午前0時近いというのに照明が煌々と点り、まるで不夜城のようです。

 

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それらのお店の中から、今回は事前に調べてきた「テヌンチッ」へ。仮設テントみたいな店内は、午前0時近いにもかかわらず来客でにぎわっています。

 

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豚肉を用いた名物の練炭プルコギは、5,000ウォン(約500円:当時)の「小」から20,000ウォン(約2,000円)の「特大」まで4サイズ。「大」を注文しようとしたところ「一人では無理なので中にしなさい」とのこと。いつもなら大丈夫アピールをしつつ「大」を強行して注文するところですが、今回は「中」10,000ウォンを注文(というのも実は昼過ぎから夕方にかけて食べた2食がまだお腹に残っていたので……)。

 

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そしてやってきた主役の練炭プルコギ。見るからにうまそうです。しかもなかなかの量。
ぱくり。見た目通りにうんまい。豚肉とほどよい甘さのヤンニヨム、そして炭焼き特有の香ばしさが絶妙なハーモニーを奏でています。
練炭プルコギの背後に写っているコーラは、パンチャン(おかず)のカンジャン(醤油)漬けタマネギなどと同じく、練炭プルコギに必ず付いて来るおまけだそうです。

 

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なんと、こちらのウドンも練炭プルコギのおまけ。大邱練炭プルコギ屋さんにはつきものの存在のようです。おいしかったです。
練炭プルコギが結構な量であるうえ、ウドンまで付いてきたので「中」でも満足な食べ応えとなりました。今回ばかりは店員さんの言うことを聞いて正解だったと思います。次回はもっとお腹が空いているときに来店して「大」以上にチャレンジしたいものです。

こちらのお店「テヌンチッ」の営業時間は午後5時~午前4時、不定期休とのこと。都市鉄道(地下鉄)1号線「中央路」駅4番出口からは徒歩約15分(約980m)同(モノレール)3号線「達城公園」駅4番出口からは徒歩約8分(約510m)で到達できます。

テヌンチッ(태능집:大邱広域市 中区 達城路22ギル 88 (寿昌洞 95-1))

 

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韓国有数の工具店の街、北城路。なんと24時間営業のエ具店もありました。

 

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帰り道に通った大邱駅の構内。ムグンファ号しか止まりませんが、大邱駅は眠りません。

そしてホテルへ戻り、明けて最終日となる3日目・6月11日(日)。
1日1便のティーウェイ航空成田行きは大邱国際空港を午前11時ちょうどに発つため、最終日は観光スポットを巡る時間はありません。なのでこの日の予定は朝食と土産物の購入のみ。

 

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ホテルを出てまず向かったのは、都市鉄道(地下鉄)1号線「中央路」駅。この駅のすぐそばを通る大通り「国債報償路」(クッチェボサンノ)沿いに、大邱十味の筆頭格「タロクッパ」を招う24時間営業の店がいくつかあるからです。前回の旅ではそれらの中でも元祖とされる「クギルタロクッパ」(こちらのエントリーにて紹介)に入りましたが、今回はその少し西側、ある方におすすめいただいた「校洞(キョドン)タロ食堂」へ。店の前では福岡の豚骨ラーメン店のような食欲をそそる匂いが漂います(タロクッパは牛骨スープですが)。

 

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注文したのはもちろん看板メニューのタロクッパ、7,000ウォン(約700円:当時)。最初からスープに白米が投入された一般的なクッパとは異なり、スープと白米が「タロ」(따로:「別々」の意)で出てくるのでこの名前が付いたとされます。

 

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やって来たタロクッパ
その名の通り白米は別に盛られています。牛骨ダシのガツンとしたコクのあるスープがうんまい。

 

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左横にある赤黒いかたまりは、タロクッパにつきものの「ソンジ」(선지:牛の血を固めたもの)。前回のクギルタロクッパではスープに入った状態で出てきましたが、こちらのお店では別の皿に盛られて出てきました。適宜削ってタロクッパに投入したりそのまま食べたりします。スプーンを入れるときの「パリパリ」とした独特の触感がたまりません。
お店の壁にはソンジの栄養分と効能について書かれたパネルもありました。カルシウム含有量は牛肉の3倍近く、鉄分は6倍以上とのこと。

こちらのお店「校洞タロ食堂」は24時間営業。都市鉄道(地下鉄)1号線「中央路」駅4番出口からは徒歩約4分(約240m)です。

校洞タロ食堂(교동따로식당:大邱広域市 中区 国際報償路 56 (前洞 27-11))

 

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校洞タロ食堂を出て、今回の旅最後の目的地となるパン屋さん「サムソンパンチッ本店」へ。
1957年創業、日本では「サムソンベーカリー」の名で紹介されることもあるこちらのパン屋さんは、名物の「トンオククスパン」(통옥수수빵:トンオククスとは「丸ごとコーン」の意)で特に知られる名店で、「一度しか食べたことのない者はいない」(一度食べたら誰もが必ずリピートする)と言われるほどやみつきになるという味から「麻薬パン」(마약빵)の異名を持っています。

 

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写真2~3枚目は日本に持ち帰ったトンオククスパン。1枚目の写真にもあるように、つぶつぶコーンがぎっしりと詰まった、ほどよい甘さのコーンペーストが猛烈にうんまいのです。まさしく麻薬パン。トンオククスパンは1個1,600ウォン(約160円:当時)。今回は調子こいて7個も買って帰ってしまいました(ちなみに8個以上の購入だと箱に詰めてもらえるようです)。

こちらのお店「サムソンパンチッ本店」の営業時間は午前8時30分~午後9時、名節(旧正月・秋夕)休み。都市鉄道(地下鉄)1号線「中央路」駅1番出口からは徒歩約3分(約180m)です。ちなみにソウル・東大門(トンデムン)の「現代シティアウトレットモール東大門店」こちらのエントリーにて紹介)の地下2階など全国各地に支店があり、麻薬パンはこれら支店でも購入できるとのことです。 

サムソンパンチッ本店(삼송빵집 본점:大邱広域市 中区 中央大路 395 (東城路3街 7-6)) [HP]

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そして写真の「郭病院ゴンノ」(곽병원건너)バス停から<급행(急行)1>バスに乗車、大邱国際空港へ移動し、帰国の途に着いたのでした。


2017年6月の大邱の旅は、今回で終了となります。お読みいただきありがとうございました。
次回からは、2017年9月の大田(テジョン)・春川(チュンチョン)・加平(カピョン)・ソウルの旅をお送りします。

 

【おまけ】
大邱の都市鉄道(地下鉄)の駅にはあちこちにコインロッカーが設置されていました。一挙紹介しますので、参考になるようであれば幸いです。  

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都市鉄道(地下鉄)1号線「大邱」駅。

 

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都市鉄道(地下鉄)2号線「パンコゲ」駅。

 

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都市鉄道(地下鉄)1号線「中央路」駅。

 

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都市鉄道(地下鉄)2号線「半月堂」駅。

 

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都市鉄道(地下鉄)2号線「慶大病院」駅。

 

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こちらは都市鉄道ではないですが、KORAIL「大邱」駅。さすがに充実しています。

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