かつてのTwitterアカウント(削除済み)の別館です。
主に旅での出来事につき、ツイートでは語り切れなかったことを書いたりしたいと思います。

仁川の旅[201704_01] - 桜咲く仁川2号線の旅、キムチチゲ一本勝負のこだわり定食屋さん

今回からは、本年(2017年)4月14日(金)から翌15日(土)にかけての仁川広域市およびソウル特別市の旅をお届けします。

 

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今回は久々に、羽田空港を深夜2時に出発するピーチで仁川へ。今回もまたほぼ満席状態です。

 

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午前4時台、仁川国際空港に到着。いつもならここでソウル駅へノンストップで直行する空港列車「A'REX」の始発に乗るところですが、今回はここ仁川広域市もまた目的地のひとつであるため、同じA'REXでも各駅停車である一般列車に乗車。

 

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黔岩(コマム)駅で下車し、昨年夏に開業したばかりの仁川地下鉄2号線(以下「仁川2号線」)に乗り換えます。この仁川2号線もまた、日本語表記をあちこちで見かけます。

 

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初めて乗る仁川2号線。電車は写真のような一見して軽電鉄(新交通システム)のような若干小さめのもので、それも2両編成を基本としています(そのため後述する目的地からの帰りは混雑していました)。

 

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釜山などの軽電鉄と同様に無人運転であるため、先頭部または最後部からの車窓も望むことができます。

 

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仁川の地下鉄特有のポイントとして、韓国国旗である太極旗が車内に貼られている点が挙げられます。同様に地下鉄があるソウル、釜山、大邱、光州では見たことがありません(大田は未乗のため不明)。仁川1号線では車端の通路上にありましたが、こちらの仁川2号線では1両に左右3か所ずつある扉のうちひとつの上部にありました。

 

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飛行機であまり眠れなかったためウトウトしていたら、終点の雲宴(ウニョン)駅に到着。
このあたりはまだ開発が進んでおらず、住宅よりも農地が目立つところで、駅前の道路はまだ整備中でした。

 

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ところどころ満開の桜が立つ早朝の小道を、目的地までのんびり歩きます。こういう旅もたまにはよいですね。

 

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雲宴駅から15分程度歩いたところにあるのがこちらの交差点「チヤコゲサムゴリ」(치야고개삼거리)。訳すると「チヤ峠三叉路」という意味です。
何の変哲もない交差点ですが、単に私の好きなキャラクターと同じ名前だったので、一度来てみたかったというわけです。
「지야」(チヤ/ジヤ)と表記する地名は光州広域市にもありますが(北区芝野洞)、韓国の公式版コミック単行本でのハングル表記である「치야」の名がついた地名は、私が調べた限り韓国でもここにしかないようです(余談ですが「千夜」をそのままハングル表記した「천야」(チョニャ)という地名は存在しないようです)

チヤコゲサムゴリ(치야고개삼거리:仁川広域市 南洞区 雲宴洞 山83-4)

 

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ここチヤコゲサムゴリ、実は先ほど下車した雲宴駅よりも、そのひとつ手前の仁川大公園(インチョンテゴンウォン)駅寄りに位置しています。その仁川大公園駅までの道は桜並木の緩やかな下り坂となっており、この日(4月14日)はちょうど満開となっていました。
ちょうどこのあたりは仁川2号線の電車が切り割り構造の雲宴駅から高架線へ移行するため姿を現す地点で、タイミングが合えば私のような下手っぴでもそれなりに絵になる写真を撮ることができます。

 

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仁川大公園駅から再び仁川2号線の電車に乗ります。こちらも日本語表記がふんだんですが、仁川市庁、ちょっと惜しい。
今度は黔岩駅よりも手前の朱安(チュアン)駅で下車、首都圏電鉄1号線(Korail京仁線。仁川1号線ではない)に乗り換えます。

 

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そしてやって来たのは終点の仁川駅。日本語表記も堂々たるものですね。この駅周辺は朝鮮時代末期・1883年の仁川港開港から日帝強占期にかけての仁川の旧市街であり、現在は韓国でも最大規模のチャイナタウンが広がっています。こうした点で仁川は横浜と実によく似ていると感じます。
首都圏にあることを除けば神戸とも似ていますね。ちなみに仁川広域市と神戸市は姉妹都市関係を締結しています。
写真はありませんが、ここ仁川駅にもボックス数は少ないとはいえコインロッカーが。仁川駅は今回下車した首都圏電鉄1号線の地上駅のほか、昨年(2016年)夏に開業したKorail水仁線(スインソン)の地下駅もありますが、こちらにコインロッカーがあるかどうかは不明です。

 

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韓国に来てまだ何も食べていなかったので、さっそく腹ごしらえに向かったのがこちらのお店「ミョンウォルチッ」。1966年創業、メニューは名物のキムチチゲがメインの「白飯」(백반:ペッパン。ここでは「定食」の意)一本というこだわりのお店です。

 

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キムチチゲはなんとおかわり自由。「드실 만큼만 가져가세요~」(召し上がる分だけお持ちください)との表記も。コンロの上でぐつぐつ煮込まれています。

 

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黒米のごはんとパンチャン(おかず)が揃ったところで、ぱくり。キムチチゲ、うんまい。やや酸味がありますがそれがまたよい。チゲの中の白菜キムチをわしわし食べ進めると、欲を言えば白米が欲しくなりますね。

 

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パンチャンも全体的に高レベルです。それらの中でも写真の豆腐の煮つけと、市販のものより凹凸に富んだ海苔は絶品でした。締めにはヌルンジ(ご飯のお焦げにお湯を注いだもの)まで。
こちらのお店「ミョンウォルチッ」、キムチチゲがおかわり自由の「白飯」は7,000ウォン(約700円)。営業時間は07:30~20:30。日曜定休。開店が早いので朝食に最適です。
ミョンウォルチッ(명월집:仁川広域市 中区 新浦路23番ギル 41 (中央洞3街 4-46))

ここからはいよいよ仁川旧市街の近代建築巡りとなるのですが、そちらは次回のエントリーにて……

釜山の旅[その7] - 避難民の辛苦を物語る「40階段」と「文化館」、そしてチュックミ焼き&ユブジョンゴル

前回のエントリーの続きです。

 

gashin-shoutan.hatenablog.com

「ヒンヨウル文化マウル」バス停から乗車した82番バスで、地下鉄(都市鉄道)1号線の「凡一」(ポミル)駅に到着。そこから徒歩、この日(2月12日)の前日の夜に訪問したばかりのKorail京釜線跨線橋、通称「クルムタリ」(구름다리:雲の橋)方面へ。

 

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それというのも、この日の昼食目当てだった釜山名物テジクッパの人気店「ハルメクッパ」がクルムタリを越えた向こう側にあるためでしたが、店先には「定休日」との張り紙が。残念ながらこの日(日曜日)は定休日だそうで。下調べが足りませんでした。
一刻も時間が惜しいので、リベンジを誓いつつも踵を返します。

 

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続いて、隣の「中央」(チュンアン)駅へ。
同駅の13番出口を出て最初の角を左に曲がると、突き当たりに奇妙ならせん階段が。
その形状からか「ソラ(소라:サザエ)階段」と名付けられたこちらの階段は、現在地から10mほど高いところを走る道路、そして次の目的地への近道でもあります。

 

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上にたどり着くまでおよそ4回転半。目が回りそうです。酔った人向けでしょうか、途中からは普通の階段も併設されています。

 

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そして「ソラ階段」を登りきった場所にあるこちらの建物の5階に入っているのが、次の目的地「40階段文化館」です。
実はこちら、昨年(2016年)1月の釜山訪問の際にも立ち寄ったのですが、そのときは館内改装に伴う半年もの長期休館中でした。1年あまりを経た今回の再訪で、ようやく入館がかなったわけです。

 

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この「40階段文化館」は、朝鮮時代末期の釜山港開港から日帝強占期、光復(日本の敗戦による解放)と大韓民国の建国、そして朝鮮戦争を経て現代へと至るまでの釜山の歴史、中でも特に朝鮮戦争期に全国から殺到した避難民たちの生活に焦点を当てた展示館であり、すぐ近くにある選難民の辛苦を象徴する場所「40階段」にちなんで名付けられたものです。
こちらもまた、受付の女性が日本語を少し話せる方で、いくつかの展示品の案内をしてくださいました。

 

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朝鮮戦争期の青空学校(小学校)の写真と、その様子を精巧に再現したジオラマ

 

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「求職」の文字を首にぶら下げている、避難民と思しき男性。この前日(2月11日)に「臨時首都記念館」で見た再現人形(こちらのエントリーにて紹介)のモデルと思われます。

 

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朝鮮戦争期の代表的な食事のサンプル。奥の列の一番左側は「クルクリチュッ」(꿀꿀이죽:豚(の餌)の粥の意)と呼ばれる、米軍の残飯を煮込んだ料理で、避難民たちの過酷な貧困状況を端的に示したものであるといえます。

 

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これら以外にも数々の展示品がありますが、できれば実際に足を運んでいただきたい場所ですので、詳しい紹介はこの辺にとどめます。
「40階段文化館」へのアクセスは、地下鉄(都市鉄道)1号線「中央」駅13番出口より徒歩約5分。若干遠回りとなりますが、同駅11番出口を出て「40階段文化観光テーマ通り」および「40階段」(いずれも後述)経由でも行くことができます。
開館時間は平日(火~金)9:00~18:00、土日10:00~17:00。毎週月曜日、公休日は休館。

40階段文化館(40계단문화관:釜山広域市 中区 東光ギル 49 (東光洞5街 44-3))

 

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40階段文化館の建物を出て右(南)方向へ1分ほど歩くと、下の道へ降りる幅の広い階段が左手に現れます。
この階段こそが、まさに「40階段」です。

 

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こちらの階段は、1950年6月25日の勃発から休戦まで3年あまり続いた朝鮮戦争当時、全国各地から戦火を逃れここ釜山へやってきた無数の避難民たちが上り下りした階段であり、前述したようにここ釜山における避難民たちの辛苦を象徴する代表的なスポットとなっています。

 

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こちらは先ほどの「40階段文化館」に展示されていた、朝鮮戦争当時の「40階段」の写真と、その一部をミニチュアで再現したもの。現在の40階段とは若干異なる位置にあったようです。

 

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階段の途中には、アコーディオンを弾く男性の像が。
ここに来ていつも驚かされるのは、踊り場でもない階段の途中に面して理髪店などの店舗の入口があること。日本ではまず見たことがありません。

 

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40階段から1号線「中央」駅方面へと向かう街路には、「40階段文化観光テーマ通り」という名前がつけられています。
こちらの街路は、朝鮮戦争期の避難民たちの哀歓と郷愁が漂う「40階段」とその周辺を1950~60年代当時の雰囲気に再現し、思い出を回想できるようにすることを目的として、2004年に整備されたものです。
街路のところどころに、朝鮮戦争当時から休戦後の人々の暮らしを象徴する像が建てられています。

 

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40階段を降りたところの前(中央駅側)にある、ポン菓子作りの男性と出来上がりを待ちわびる子どもたちの像。

 

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幼子に乳を与える母らしき女性の像。

 

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水を運ぶ少女。重そうです。主に避難民が暮らしたタルトンネ(달동네:斜面などに形成された低所得層の集落)では水道が整備されておらず、ごく普通の光景でした。

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仕事の疲れか、箱のようなものに座り、背負子にもたれかかる男性たち。

この前々日(2月10日)に訪問した草梁(チョリャン)駅そばの「平和の少女像」(こちらのエントリーにて紹介)をはじめ、こうした等身大のリアルな像を用いて過去の悲劇や苦難を記憶する取り組みは、韓国が数十歩進んでいるように感じます。学ぶべきものは無数にあります。

 

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「40階段文化観光テーマ通り」の起点であることを示す造形物。ここから徒歩1分もかからない場所に、地下鉄(都市鉄道)1号線「中央」駅11番出口があります。
40階段文化観光テーマ通り)(40계단문화관광테마거리:釜山広域市 中区 40階段ギル 一帯)

 

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さすがにおなかがすいてきたので、そろそろ腹ごしらえの時間です.
今回は「40階段文化観光テーマ通り」から徒歩6分程度の距離にある「トゥンボチッ」へ。
こちらはチュックミ(주꾸미:イイダコ)料理がメインのお店で、今回の旅の直前に投稿されたある方のブログを見て、訪問の候補に入れていたものです。

 

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こちらの店先では、網に挟み込んだチュックミを炭火で丁寧に焼いています。あたりには香ばしい匂いが充満。よだれがほとばしり出ます。

 

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入店。注文したのはもちろん、先ほど店先で焼かれていた「チュックミグイ」(쭈꾸미구이:チュックミ焼き)、12,000ウォン(約1,200円)。

 

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そして出てきたチュックミグイ。チュックミそれ自体のうまみに炭火特有の香ばしさ、そしてパンチのある辛さの特製ヤンニョムが渾然一体となっています。うんまい。ビールにめちゃくちゃ合います。辛さで額に汗が流れますが止められません。次の食事を考慮して1人分だけ頼んだものの、あまりのおいしさにもう1人分を追加。
2枚目の写真でチュックミグイのお皿の左に写っているクリームシチューみたいなものは、チュックミグイを頼むとついてくるコンビジ(콩비지:おからスープ)で、これがまたまたうんまいのです。初めて食べましたがこんなにおいしいとは正直思っていませんでした。

 

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付け合わせの小さな白菜の葉にチュックミさんをちょこんと乗っけて。この食べ方もうんまいです。
こちらのお店にはその人気でチュックミグイと肩を並べるという、自家製トゥブ(두부:豆腐)がメインの「トゥブ定食」(두부정식)も。こちらはなんと3,000ウォン(約300円)という激安メニュー。いつか食べてみたいものです。

「トゥンボチッ」の営業時間は11:00~22:30、毎月第4日曜日休業。地下鉄(都市鉄道)1号線「中央」駅3番出口からだと徒歩約3分。大通りの「中央大路」(중앙대로:チュンアンデロ)に沿って「南浦」(ナムポ)駅方面へ進み、2番目の角を右折、続いてすぐの角を左に曲がって50mくらい進むと右手に現れます。

トゥンボチッ(뚱보집:釜山広域市 中区 中央大路41番ギル 3 (中央洞1街 21-3))

 

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飛行機の時間が迫りますが、どうしても行きたい場所がまだあるので、歩みを進めます。
中区最大の繁華街である「光復洞ファッション通り」(광복동 패션거리)を、続いて一昨日にも訪れた「国際市場」(국제시장)を突っ切ります。途中には映画『国際市場で逢いましょう』の主人公、ドクスの店のモデルとなった「コップニネ」(꽃분이네:「コップンの店」の意)も。開いている姿は初めて見ました。

 

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そしてやって来たのは、こちらも一昨日に訪問した「富平カントン市場」(부평깡통시장)。ここでは今回、2つの目的が。
まずひとつは、市場内のお店「ハルメユブジョンゴル」にて、この日2度目となる昼食のため。

 

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こちらの看板メニューの「ユブジョンゴル」は、タンミョン(당면:韓国春雨)を包んだユブ(유부:油揚げ)を、西日本風のおでんスープで煮込んだもの。上に乗った釜山名物のオムク(어묵:魚肉の練り物)を食べ進めるとユブが現れます。これまたうんまかったです。久々に韓国で「懐かしい」味に出会いました。価格も5,000ウォン(約500円)とお手ごろ。
こちらのお店「ハルメユブジョンゴル」の営業時間は10:00~20:00、年中無休です。
ハルメユブジョンゴル(할매유부전골:釜山広域市 中区 富平3ギル 29 (富平洞1街 15-20))

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そしてもうひとつは、市場のうち東西方向のアーケード通りの両サイドに並ぶ、釜山名物のオムク専門店でのお土産購入のため。

 

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互いにしのぎを削る20軒あまりものオムク店の中から、今回は「桓公(ファンゴン)オムク」を選択。こちらのお店を紹介した某サイトの「調味料を入れずにオムクを煮込んでも真っ白なスープが出るほど濃い味」という一文に惹かれたためです。

 

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さまざまな風味、形のオムクが20個以上も入って、1袋10,000ウォン(約1,000円)と超お買い得。今回の釜山土産となりました。

 

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こちらの写真は帰国後、日本のおでんスープを投入し、自宅で実際に煮込んでみたものです。ただでさえ量が多いうえ、オムクは茹でると膨張することを忘れていたので見た目えらいことになっていますが、これでもまだ全部ではありません。
評判通り、旨みの中にコクの感じられる味で、うんまかったです。味もそれぞれ少しずつ異なるので食べ飽きることもありませんでした。
桓公(ファンゴン)オムク(환공어묵:釜山広域市 中区 中区路43番ギル 25 (富平洞2街 14-1) 富平カントン市場3B-20号)

 

オムクを購入したところで、タイムアップ。
時間がないので富平カントン市場からはタクシーで沙上(ササン)へ移動、荷物を回収して軽電鉄で金海国際空港へ。

 

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金海国際空港の楽しみといえば、何といっても手荷物検査場の先にあるソルビンでしょう。今回食べたのは写真の「フギムジャ(黒ゴマ)ソルビン」。摺った黒ゴマの風味が鼻腔をくすぐります。半円形に盛られたあんこを除いては甘さ控えめで、別添の練乳を適宜継ぎ足して食べます。
そして、一昨日に釜山へ来たときと同じエアプサンで帰国の途に着くのでした。

 

2017年2月の釜山の旅は、今回で終了となります。お読みいただきありがとうございました。
次回からは、2017年4月の仁川・ソウルの旅を紹介いたします。

釜山の旅[その6] - 海沿いに貼り付いた風光明媚な「白い早瀬の村」ヒンヨウル文化マウル

前回のエントリーの続きです。

明けて、最終日となる2月12日(日)の朝。この日もいい天気です。
チェックアウトを済ませた後、まずは荷物を預けるためにコインロッカーへ。ホテルから近い地下鉄(都市鉄道) 2号線「沙上」(ササン)駅にもコインロッカーはありますが、台数が限られているうえ、私のキャリーバッグが入る大サイズはないためスルー。

 

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向かったのはこちらのブログで知った、ホテルから徒歩5分程度の釜山西部バスターミナル(부산서부버스터미널)1階のコインロッカー。こちらの方が台数が多く、しかも安いのです。小サイズだとなんと1日1,000ウォン(約100円)! 私のキャリーバッグが入る大サイズでも1日3,000ウォン(約300円)という、 日本は言うまでもなく韓国でもほとんど見ないリーズナブルな価格設定。
宿泊が沙上のホテルではない方でも、大抵の方は金海空港へ向かう際にほぼ必ず(地下鉄と釜山金海軽電鉄との乗り換えのため)ここ沙上を通ることと思いますので、最終日の荷物置き場には絶好の場所です。
釜山西部バスターミナル (부산서부버스터미널:釜山広域市 沙上区 沙上路 201 (掛法洞 533-6))

 

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釜山西部バスターミナルのすぐ脇には、バスの利用客向けに朝早くから営業している飲食店が。
その中で今回は、先のコインロッカーと同じブログ記事で知ったオデン屋さんに入ります。

 

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韓国オデンの特徴は、全長3~40cmはあろうかという長い串にオデン種が刺さっていること。もはやちょっとした凶器です。前日に訪れた「古来思」(コレサ)海雲台店(こちらのエントリーにて紹介)にある巨大なオブジェもこんな感じでしたね。
スープは日本(西日本風)のそれとさほど変わらない懐かしい味。釜山名物のオムク(어묵:魚肉の練り物)やカレトック(가래떡:うるち米の餅)などを5本くらい食べても値段は2,500ウォン(約250円)。つまり1本500ウォン(約50円)!! しかもなかなかおいしかったです。

 

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この日もまた前日(11日)と同じく8番バスに乗車し、これまた前日と同じ「西区庁」バス停にて下車。ここから歩いて5分程度のところにあるのが、主に鮮魚や海藻などの海産物を扱う「忠武洞セビョク市場」(충무동 새벽시장)です。
「セビョク」とは「明け方、早朝」の意。その名の通り午前3時にオープンし、同10時には閉まるというかなり朝型の在来市場で、私が到着した午前7時台はすでに後半に入っている計算となります。

 

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ここを訪問するのは2016年1月に続き2回目。鮮魚もそうですが、とりわけ海藻の種類が豊富なこともあって、見ていて楽しいです。

忠武洞セビョク市場(충무동 새벽시장:釜山広域市 西区 忠武大路256番ギル 一帯)

 

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忠武洞セビョク市場を出て、チャガルチ市場へ向かう途中の海岸通りにある食堂街。市場で働く人々の胃袋を支えています。

 

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釜山最大の水産市場、チャガルチ市場(자갈치시장)。ソウルの鷺梁津(ノリャンジン)水産市場をはじめ韓国各地の水産市場と同じく、一般の人でも海産物を購入でき、それを館内の食堂に持ち込むことで刺身やヘムルタンなどに調理してもらえます(席代、調理料別途負担) 。
余談ですが、私はここを訪れるといつも、チャガルチ市場のすぐそばにある某店で浦項(ポハン)・九龍浦(クリョンポ)名物の「クァメギ」 (과메기:サンマを寒風に晒して作った生干し。ニシンのものは最高級品とされる)の冷凍品をお土産に購入します。そのまま食べてもおいしいのですが、韓国式にネギや酢コチュジャンとあわせてケンニッ(エゴマの葉)などで包んで食べると超うんまいのです。

 

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チャガルチ市場を過ぎてさらに歩くと、「影島大橋」(ヨンドデキョ)の威容が見えてきます。
この橋は釜山の旧市街である南浦(ナムポ)洞・中央(チュンアン)洞と対岸の影島(ヨンド)とを結ぶため、日帝強占期の1934年に開通。大型船舶が航行する際に路面の一部が上方向へ跳ね上がる独特の構造は長らく使用されていなかったものの、2013年のリニューアルの際に復活し、いまでは1日1回(14:00~14:15)開閉が実施されています。
架橋以降は釜山のランドマーク的存在となったこの橋、1950年6月25日に勃発したことから「6.25」(ユギオ)とも呼ばれ3年あまり続いた朝鮮戦争期とその休戦後には、避難民たちが散り散りになった家族と再会するための場所としても利用されるようになりました。その当時の辛苦をしのぶため、影島大橋のたもとの海岸には避難民を象徴する家族の像が建てられています。

影島大橋(영도대교:釜山広域市 中区 中央洞7街~影島区 大橋洞1街)

 

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そのたもとの海岸沿いには日帝強占期当時に建てられ、光復後には占いの館としても利用された日本家屋がいくつか建っていたそうですが、いまでは最後の1軒が残るのみとなりました。
こうした日本家屋もまた、植民地支配の収奪の一環として建てられたものであり、これらへの郷愁に浸るよりも先にどうしてもそのことが頭をよぎってしまいます。
あくまで個人的な見解ですが、これら日本家屋は光復後に韓国の人々が大切に利用し暮らしてきたことにこそ意味があると思いますし、それだからこそ郷愁をも感じ得るものです。文化財的な価値があるものを含め、取り壊されるのはもったいないという気持ちも正直ないとはいえませんが、あくまでそれは韓国の人が決めるべきことです。

 

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影島大橋の上から眺めた釜山港(南港)の眺め。この風景を見るといつも、大ヒット曲「釜山港へ帰れ」のメロディが頭の中を流れます。

 

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影島大橋を歩いて渡ると、写真の像が建っています。朝鮮戦争期にヒットした歌謡曲「굳세어라 금순아」(頑張れクムスン)を歌ったここ影島生まれの歌手、玄仁(현인:ヒョニン、1919-2002)さんを記念した像のようで、近づくとそれと思しきメロディが流れます。

前回(2016年1月)の訪問時には影島大橋を渡ってすぐ引き返してきましたが、今回は影島にも行きたい場所があるのでそのまま直進。少し歩いた「影島警察署」バス停から85番バスに乗車して向かったのは、影島の西海岸にある「ヒンヨウル(ヒニョウル)文化マウル」(흰여울문화마을)。

 

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この「ヒンヨウル文化マウル」とは、朝鮮戦争期に身ひとつで故郷から逃れてきた避難民たちを含め、低所得層の人々が暮らしたいわゆるタルトンネ(달동네:斜面などに形成された低所得層の集落)のひとつです。
マウル(마을:村、集落)の名前にあるヒンヨウルとは、直訳すると「ヒン」(흰:白い)「ヨウル」(여울:早瀬)の意味で、マウル一帯を含む影島の最高峰、蓬莱(ポンネ)山から流れる水の様子からこの名前がつけられたとのことです。
こちらもまた鄭銀淑さんの著書『釜山の人情食堂』で存在を知り、またある方の現地でのツイートを拝見して俄然行きたいとの気持ちが高まったことから、今回の訪問となった次第です。

 

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写真1枚目、大通りにある「흰여울길」(ヒンヨウルギル)の標識から脇道に入るとまもなく、2枚目のマウル入口を示す看板が出てまいります。

 

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このヒンヨウル文化マウルの特徴は、海岸の斜面にへばりつくように走る1本の細い歩道(ヒンヨウルギル)を中心に、マウルが形成されていること。「ヒンヨウル」の名を意識してか、住宅の壁の色も、歩道の防護壁の色も概ね白で統一されています。そのため誰が呼んだか「釜山のサントリーニ」との異名もあるとか。タルトンネ再生の成功事例である同じ釜山の「甘川(カムチョン)文化マウル」(こちらのエントリーにて紹介)を意識しつつも、地理的特性を活かした全く異なる街づくりがなされています。

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マウルを貫くヒンヨウルギルのあちこちに、写真のような海沿いの街らしいオブジェが。一部は公衆トイレとあわせてちょうど工事中で、甘川文化マウルに負けじと観光客誘致に期待するマウルの意気込みが感じられます。

 

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こうしたマウルにはつきものの壁画が、ここでも家の壁を彩ります。なごみますね。個人的には大好きです。

 

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マウルの中には、故・盧武鉉(노무현:ノ・ムヒョン、1946-2009)元大統領の若き頃をモデルにしたというソン・ガンホさん主演の映画『弁護人』(변호인)のロケに使用された1件の住宅があります。
今年(2017年) 4月9日に亡くなったキム・ヨンエさん演じる、主人公が足しげく通うテジクッパ屋のアジメ(「アジュンマ」の釜山方言。ここでは女主人の意)の自宅という設定で登場したのがまさにこちらの住宅であり、現在はマウルの案内所として使用されているそうです。

 

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壁には、映画のメインキャストの写真、そして劇中のアジメのセリフが。

“니 변호사 맞재?  변호사님아 니 내 쫌 도와도.”
(あなた弁護士でしょ? 弁護士なら私を助けてよ。)

警察により不当に拘留され、裁判を受けることとなった息子の救出を主人公の弁護士に迫る、アジメのセリフです。
この懇願を受けて、それまで金儲け第一であった主人公は変節し、アジメの息子やその仲間たちを救うため、そして韓国の民主化のために戦うこととなります。
『弁護人』、おすすめの映画です。ぜひ観てみてください。

 

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ロケ地の家、高さ1.4mくらいの勝手口の上にあった、愛らしい「頭上注意」。なごみます。

 

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ヒンヨウルギルから海と反対方向に入る道のひとつひとつがいちいち絵になるのも、このマウルの特色かもしれません。

 

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マウルを貫くヒンヨウルギルの終端には、海岸の消波ブロック沿いの道へと降りてゆく色とりどりの階段、通称「ピアノ階段」があります。見ての通りなかなか急な階段です。実際に登ってみたら、途中に展望台を挟んで、ヒンヨウルギルまで200段もありました。足ガクガク。

 

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ピアノ階段へ下りる途中の「二松島(イソンド)展望台」。空気の澄んだ晴れの日には遠く対馬も見えるとか。あいにくこの日は見えませんでした。

 

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今回は朝(午前9時台)に訪問しましたが、南西に向かって海に面しているだけあって、日没時はここから眺める夕日がそれはもう美しいこと極まりないそうです。次はぜひともその時間帯を狙って訪問したいものです。

「ヒンヨウル文化マウル」へのアクセスは、まず地下鉄(都市鉄道) 1号線「南浦」(ナムポ)駅で下車、6番出口を出て影島大橋の方向へ移動すると最初に現れる「影島大橋(南浦駅)」(영도대교(남포역) )バス停から679718285508番のいずれかの一般バスに乗車すると、14分前後で到着します。私のように影島大橋を歩いて渡りたいという方は、 次の「影島警察署」(영도경찰서)バス停から前述のバスに乗ってもよいでしょう。
住宅地であるうえ、観光客の来訪を期して街づくりがなされている場所ですので訪問自体は24時間いつでも可能ですが、当然ながらここで生活されている方も多数いらっしゃいますので、お静かに観覧いただくようお願いいたします。
ヒンヨウル(ヒニョウル)文化マウル(흰여울문화마을:釜山市 影島区 瀛仙洞4街 186-101 一帯)

 

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そんなわけで、次の目的地である凡一(ポミル)洞へと向かうため、「ヒンヨウル文化マウル」バス停から82番バスに乗り込む私でした。
それでは、次回のエントリーに続きます。

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