かつてのTwitterアカウント(削除済み)の別館です。
主に旅での出来事につき、ツイートでは語り切れなかったことを書いたりしたいと思います。

太白の旅[その4] - 夜の雪祭りと洛東江の発源地、そして太白といえばあのうんまい鶏料理

まず本題に先立ち、前回のエントリーにおいて 「太白石炭博物館」へのアクセスに関する説明を失念しておりましたので、本エントリー公開とあわせて追記しております。ご訪問に際しての参考になるようであれば幸いです。

 

それでは、前回のエントリーの続きです。

gashin-shoutan.hatenablog.com

閉館時刻の18時を過ぎ太白石炭博物館から出ると、あたりはすっかり暗くなっています。そして驚いたことに、入館した時点ではあれほど賑わっていた雪祭り会場に人がほとんどいません。どうやら中心部・黄池洞へ向かう無料シャトルバスの最終便が18時に出発した後らしく、祭りは終わってしまったようです。
テントの中にあり、来たときは多くの来客でごった返していた飲食店舗もすべて閉まっています。過去に春川や筏橋などで参加した祭りのように、会場内の飲食店は深夜まで営業するものと思っていたので、ちょっと拍子抜け……まあこちらは市街地から離れた会場なので仕方ないかもです。

 

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祭りは終わったとはいえ、雪像群は七色の光でライトアップされているので、次の市内バスが来るまでしばし鑑賞。幻想的な趣がありますね。他方で重機による雪像の撤去(破壊)作業はすでに始まっており、祭りの後のさみしさをかみしめつつ。

 

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往路と同じ7番の市内バスに乗り、終点・太白市外バスターミナルの3つ手前の「自由市場」(자유시장)バス停で下車。ここはその名の示す通り、太白随一の在来市場である「自由市場」(자유시장:チャユシジャン)のそばであるほか、韓国を代表する大河のひとつ洛東江(낙동강:ナクトンガン)の発源地である池「黄池ヨンモッ」(황지연못)の最寄りのバス停でもあります。この黄池ヨンモッから1日約5,000トンもの水が湧き出し、遠く1,300里(約520㎞。韓国の1里は約400m)離れた釜山へと流れているのです。

黄池ヨンモッ(황지연못:江原道太白市黄池洞623)

 

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この黄池ヨンモッを取り囲む公園も「太白山雪祭り」のサブ会場であり、公園全体がイルミネーションで美しく飾られています。

 

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メイン会場のタンゴル広場より少ないとはいえ、ここ黄池ヨンモッにも十数体の雪像が設置されています。石炭産業で栄えた太白らしく、鉱夫をモチーフにした雪像もありました。

 

イルミネーションで心を満たした後は、いよいよお腹を満たす番です。
太白での夕食といえば、やはりこの地を代表する郷土料理であり、私も大好きな「太白タッカルビ」。同じ江原道でも春川市の名物であり、日本で一般にタッカルビと呼ばれる炒め料理の「春川タッカルビ」(こちらも大好き)とは全く異なる、スープで煮立てる料理であり、韓国では「ムル(水、汁)タッカルビ」とも呼ばれています。
一説によると、過酷な環境下での労働のため喉に炭塵がこびりついた鉱夫が飲み込みやすいよう、春川とは異なるスープベースの料理として発展したものだということのようです。

 

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今回は黄池ヨンモッから徒歩3~4分程度の場所にあり、本場の太白でも2大名店のひとつに数えられる「金書房(キムソバン)ネタッカルビ」(김서방네닭갈비)へ。

 

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主役の鶏肉に加え、スッカッ(シュンギク)とミナリ(セリ)、白菜、長ネギ、ジャガイモ、そしてトックが入ります。太白タッカルビのもうひとつの特徴は、ウドンやラミョン(ラーメン)、チョルミョンなどのサリ(麺)を最初から投入し、鶏肉より先に食べること。どのサリにするか注文時に聞かれるので最初はちょっと焦りました。こちらも一説では、坑道での重労働でお腹をすかせた鉱夫たちが、肉に火が通るのを待たずしてお腹を満たせるよう、このスタイルになったとされています。私はウドンサリを選択。

 

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そしてお待ちかねの実食。昨春の訪問の際に食べた別の店のタッカルビよりも辛めですが、コクのある味で、うんまい。

もちろん具をあらかた食べた後にはご飯を投入し、締めのポックンパ。これまたうんまい。

 

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加えて、タッカルビ1人分で6,000ウォンというリーズナブルさもたまりません。タッカルビ2人分&ウドンサリ&ポックンパ&ビール3本で、24,000ウォン(約2,400円)でした。心もお腹も懐もぽかぽか。

「金書房ネタッカルビ」の営業時間は11:00~22:00(ラストオーダー20:30)、定休日なし(名節(旧正月、秋夕)は休業かも)。太白駅や太白市外バスターミナルからは徒歩12~3分の距離ですので、歩いたほうが早いです。

金書房ネタッカルビ(김서방네닭갈비:江原道太白市市場南1ギル7-11(黄池洞30-171))

 

余談ですが 、偶然にもこちらの「金書房ネタッカルビ」と、タッカルグクスがおいしかったこの日の昼食の「ハン書房カルグクス」は、ともに「書房」(ソバン:서방)という語が店名に含まれています。この「書房」とは日本でいう本屋さんの意味ではなく、かつて朝鮮で官職のない人や婿などを呼ぶ際に姓の後につけた語だそうです。したがって「金書房ネタッカルビ」は「金さんちのタッカルビ」くらいの解釈でよいみたいですね。

 

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帰り道。私も愛用している「モンベル」のショップがここ太白にもありました。このほかにもアウトドア用品の店がメインストリートの黄池路沿いに軒を連ねています。人口こそ5万人足らずの街ですが、太白山に代表される1,000m級の山々に囲まれ、登山の拠点となる土地だからこそ成り立っているのかもしれません。

 

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先ほどの自由市場にも寄ってみました。さすがに20時過ぎなのでほとんどの店は閉まっていますが、いくつかのお店はまだまだ営業中。韓国の在来市場大好き。

 

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帰りがけの道すがらにあった「黄池教会」。ここもイルミネーションがきれいです。

 

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いよいよ冷え込んできた夜の太白の街を歩いて宿へと戻り、明日に備えて眠りにつくのでした……

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