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主に旅での出来事につき、ツイートでは語り切れなかったことを書いたりしたいと思います。

大邱の旅[201706_02] - 15年前の地下鉄火災を記憶し悼む空間、そして2つの「大邱十味」を味わう

 

前回のエントリーの続きです。

 

韓国・大邱(テグ)広域市を中心に巡る旅の1日目(2017年6月9日(金))です。

「平和の少女像」から国債報償路を西へ向かって歩き、地下街への入口を下って、都市鉄道(地下鉄)1号線「中央路」(チュンアンノ)駅へ。この駅の名は、およそ15年近く前に日本でも報道されたニュースでご記憶の方もいらっしゃることでしょう。
2003年2月18日午前9時53分、この駅への到着直前だった地下鉄1079列車の車内で、突如一人の男性がガソリンを車内にまき点火。この当時の車両や駅は可燃材が多数用いられており、火の手はたちまち車両全体に、そして到着した中央路駅構内へと拡大します。この電車の乗客の大半は駅到着後に脱出できたものの、まもなく対向ホームに到着した1080列車は乗務員が誤ってドアを閉じてしまったため、引火した炎と有毒ガスにより1079列車よりも多くの乗客が犠牲となりました。「大邱地下鉄放火事件」あるいは「2.18大邱地下鉄火災惨事」などと呼ばれるこの事件では、実に192名もの尊い命が失われています。

 

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この火災により中央路駅構内は全焼し、その設備のすべてが焼け焦げ、壁面は煤で覆われました。それらの一部を当時のまま保存し、この事件の記憶と犠牲者の追悼のため同駅構内の一角に設けられたのが、写真の「2.28大邱地下鉄火災参事記憶空間」です。壁面には犠牲者192名の名前と生年が。

 

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記憶空間の入口横には、犠牲となった方々の名前が刻まれた「追慕壁」があります。黙祷をして、写真を撮影します。

 

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記憶空間に展示されている、当時の駅構内の備品の数々。何らかの案内板と思しき板は表面が溶けています。そして煤けた壁面には、犠牲者を悼む無数の言葉が。

 

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キオスク。おそらく当時からこの場所にあったと思われます。物品が散乱した店内、そして事件当日の日付の新聞。2003年2月18日のまま、時が止まっています。

 

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記憶空間周辺の駅通路には、犠牲となった方々の遺品が展示されています。やりきれない思いに襲われます。

  

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事件以降の大邱地下鉄の取り組みを紹介したパネル。事故後、大邱に限らず韓国では鉄道車両・駅構内ともに徹底した不燃対策が施されるようになり、またホームには防毒面を収納したケースが設置されるようになりました。
「2.18大邱地下鉄火災惨事記憶空間」は都市鉄道(地下鉄)1号線「中央路」駅の構内、3・4番出口側(北側)の改札手前にあるため、地下鉄の運行時間帯であれば無料で入場できます。安全設備の不備による惨事の犠牲者を悼み、その事実を直視し記憶すること、そしてこれらを未来へ継承すること。その大切さを改めて思い知らされます。

2.18大邱地下鉄火災惨事記憶空間(2.18 대구지하절 화재 참사 기억공간:大邱広域市 中区 中央大路 424 (南一洞 143-1) 中央路駅構内)

 

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1号線に乗って4つ先の「嶺大病院」(ヨンデピョンウォン)駅へ移動。時計はすでに午後8時を回っていましたが、沖縄を除けば日本よりもずっと西に位置する大邱の空はまだほの明るいです。嶺大病院駅からは<순환(循環)3-1>番バスに乗車。

 

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隣接する寿城区(スソング)にある「トゥルアンギル初等学校前」バス停で下車。ここからトゥラル路(トゥルアンギル)を南へ5分ほど歩いた場所に、この日の夕食目当てのお店「美成(ミソン)ポゴ トゥルアンギル本店」があります。
店名の「ポゴ」とはフグ(河豚)のことで、こちらのお店は大邱を代表する10種の料理「大邱十味」にも数えられる料理「ポゴプルコギ」(フグの鉄板妙め)の元祖とされています。1978年創業、駐車台数からも分かるようになかなかの人気店です。

 

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メニューを見ていたところ、店員さんが20%割引中の「ミルボクモドゥム(サバフグの全部入り)プルコギ」19,500ウォン(約1,950円:1人分)を熱心にすすめるので、こちらにします。

 

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やって来たミルボクモドゥムプルコギ(写真は2人分)。別売トッピングのニラやモヤシ、タンミョン(春雨を太くしたような麺)が最初から入っているので「モドゥム」。店員さんが目の前で炒めてくれます。いい色のヤンニョムソースがからまって見るからにおいしそう。香ばしい匂いが漂います。

 

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ミルポク、最初の一口。淡白ながらもうまみの凝縮された味。ヤンニョムソースは見た目ほど辛くはありません。ああ、かなりうんまい。これは止まらん。ビールにもよく合います。

 

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こちらの黄色い液体は、パンチャン(おかず)のタンホバンムルキムチ(カボチャの水キムチ)。自慢の一品のようで、おいしかったです。

 

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あらかた食べ終わった後は、お楽しみのポックンパで締め。当然こちらもうんまい。

 

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帰りがけ、厨房のそばでは「ポゴチリ」(복어지리)らしき料理が出番を待っていました。ポゴチリとは澄んだスープのフグ鍋のことで、日本の「(ふぐ)ちり」が語源のようです。辛いスープの「ポゴタン」とは明確に区分されています。
「美成ポゴ トゥルアンギル本店」の営業時間は午前10時~午後11時、名節(旧正月・秋夕)当日は休業。私のように地下鉄とバスを乗り継いで行くほか、最寄り駅である都市鉄道(モノレール)3号線「黄金」(ファングム)駅から徒歩約15分(約1km)で行くこともできます。

美成ポゴ トゥルアンギル本店(미성복어 들안길본점:大邱広域市 寿城区 トゥラル路 87 (上洞 127-)))

 

お腹は大分たまっていますが、せっかく9ヵ月ぶりに食都・大邱へ来たのですから、もう1件くらいハシゴしたい。そこでタクシーに乗り、「平和の少女像」と同じ国債報償路沿いにある中区庁(区役所)まで戻ります。

 

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この中区庁近くの裏路地を入ったところに、目的の店「ワンゴミ食堂」があります。酒場らしい雰囲気にあふれたこちらのお店、裏路地というロケーションもまたたまりません。

 

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壁面にはメニューと、SBSの人気番組『ぺク・チョンウォンの3大天王』の取材を受けた際の写真が。司会のぺク・チョンウォン(백종원:白種元。中段のグレーの服を着た男性)氏は韓国の著名料理人兼タレントで、日本にも店舗のある「セマウル食堂」など複数の飲食店を経営する実業家でもあります。この番組は惜しくも終了してしまいましたが、私が通っているお店も複数登場し、個人的に参考にしている番組です。そういえば先ほどの「美成ポゴ」にも同番組の取材時の写真がありました。

 

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まずは2大人気メニューのひとつ、センコギ(생고기:牛の生肉)。名前こそ異なりますが、大邱十味のひとつ「ムンティギ」と同じです。来た時点では完売だと聞いたのですが、幸運なことに100g分だけ残っていました。なんていい肉色。

 

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センコギは写真左のヤンニョムジャン(つけダレ)につけて食べます。唐辛子ベースと思しきヤンニョムにごま油、ニンニクなどが入り、ぺク・チョンウォン氏をして「魔性のヤンニョムジャン」と言わしめたこちらのヤンニョムジャン。センコギのおいしさを引き立てます。うんまい。

 

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そしてもうひとつの人気メニュー、オドゥレギ(오드래기)。こちらも100g。白い部位はなんと牛の大動脈。これと肉をコショウなどのスパイシーな味付けで妙めたものです。大動脈のコリコリした食管がたまりません。これまたうんまい。ソジュ(焼酎)との相性がぴったりです。大邱を含む慶尚北道キョンサンブット)の地ソジュ「マシンヌンチャム」で一杯。

 

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「ワンゴミ食堂」の営業時間は午後5時~午後11時30分、日曜定休。土曜日はセンコギの扱いはないそうですのでご注意願います。肉がおいしくて、個人的にお気に入りのお店でした。今度はお腹がすいた状態で訪問したいですね。

ワンゴミ食堂(왕거미식당:大邱広域市 中区 国債報償路 696-8 (東仁洞4街 179))

 

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ホテルまでの帰り道、東城路(トンソンノ)付近の路地。人はなぜ路地裏に惹かれるのか。

歩いてホテルヘ向かっているうちに、猛烈に冷麺が食べたくなりました。しかし時刻はすでに午前0時過ぎ、日中はあんなに賑やかだった東城路沿いの店舗はどこもシャッターが降りています。そこで大邱駅の少し手前で東城路を左に折れて、北城路(プクソンノ)へ。

 

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この北城路には日帝強占期に建てられた日本式の家屋が現在も数多く残っており、近年は内部をリノベしておしゃれなカフェなどに再活用されています。そんなわけで1件くらいは深夜営業の飲食店があるかと思った次第ですが、写真のようにどこも真っ暗。

 

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そんな中でただひとつ開いていたのがこちらのお店。吸い込まれるように入ったものの、こちらもまたカフェであり、残念ながら目当ての冷麺はないとのこと。しかしこちらの店員さんは私が外国からの旅行者と見るや、深夜の珍客(それもお金にならない)にもかかわらず、やはり日帝強占期の建築という建物内を親切に案内してくださいました。

 

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日帝強占期に塩を保管していた倉庫を再活用したというこちらのお店、その名もずばり「北城路ソグム倉庫」(ソグムとは「塩」の意)。元が倉庫だけあって内部は広々としています。
こちらのお店「北城路ソグム倉庫」の営業時間は午後2時~午前2時、日曜定休。いつか今回のお礼も兼ねてお茶を飲みに行きたいと思います。

北城路ソグム倉庫(북성로 소금창고:大部広域市 中区 慶尚監営1キル 81 (太平路2街 16-5))

 

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こちらも日本家屋を再活用した「北城路工具博物館」。夜ゆえの情感が漂います。

以前にも書きましたが、これら朝鮮半島に残る日本家屋あるいは日帝強占期の近代建築などは、その意図や役割にかかわらず日本による支配、収奪の一環で建てられたものです。そしてこれらの建物はそれ自体の文化財的価値以上に、そうした支配・収奪を「記憶」するものであること、また光復(日本の敗戦による解放)後に朝鮮半島の人々が大事に活用してきたことにこそ価値があり、それゆえ訪れてみたいとの考えを私は抱いています。

そして結局、冷麺はあきらめてホテルへ帰り、次の日のため眠りにつくのでした。
それでは、次回のエントリーヘ続きます。

大邱の旅[201706_01] - 東城路(トンソンノ)近辺のスポット巡り、そしてまたあのひとに会いに

今回からは、本年(2017年)6月9日(金)から同月11日(日)にかけての大邱(テグ)広域市の旅をお届けします。

韓国有数の大都市である大邱広域市の人口はおよそ250万人。韓国では4番目ですが、3位の仁川をソウルと同じ首都圏として一体だと考えるならば韓国第3の都市と呼ぶべき存在です。市域の人口規模に加え、首都ソウルと第2の都市・釜山の間、それもやや第2の都市寄りに位置する点など、個人的には日本の名古屋と似ている印象があります。
大邱には名所・旧跡など観光地が無数にあり、また近年は商業施設も発達していますが、私にとって大邱といえば何と言ってもやはり「食都」。後述する「大邱十味」に代表される、他地域に類を見ない独特の食文化が花開いているからです。このあたりも名古屋に似ていますね。

大邱広域市では食都・大邱を彩る郷土料理の中でも特に代表的とされる10種のメニューを選定し、「大邱十味」(대구십미)と名付けて街の広報に広く用いています。
それではこれら「大邱十味」のうち、前回・2016年9~10月の旅で味わうことのできたメニューとその店を簡単に紹介したいと思います。

 

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「タロクッパ」(따로국밥)。
大邱十味の中でも筆頭格に挙げられる料理。一般的なクッパとは異なり、牛骨スープとご飯が「タロ」(따로:別々の意)で出されるためにこの名が付いたとされています。スープの中に「ソンジ」(牛の血を固めたもの)が入っているのが特徴。写真は都市鉄道(地下鉄)1号線「中央路」(チュンアンノ)駅近く、タロクッパの元祖とされる1946年創業の「クギルタロクッパ」にて。24時間営業。

クギルタロクッパ(국일따로국밥:大邱広域市 中区 国債報償路 571 (前洞 7-1))

 

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「ナッチャンマンドゥ」(납작망두)。
直訳すると「ぺたんこ餃子」の意で、タンミョン(春雨を太くしたような透き通った麺)などの具を包んだ平べったいクンマンドゥ(焼き餃子)。具以上に焼いた皮の香ばしさを味わえる一品です。写真は都市鉄道(モノレール)3号線「新南」(シンナム)駅近く、ナッチャンマンドゥの元祖とされる「ミソンダンナッチャンマンドゥ」にて。営業時間は午前10時~午後9時(週末は午後8時)、名節(旧正月・秋夕)休み。

ミソンダンナッチャンマンドゥ(미성당납작망두:大邱広域市 中区 南山路75-1 (南山洞 104-13))

 

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「マクチャングイ」(막창구이)。
牛の第四胃であるマクチャン(막창:日本でいうギアラ。直腸のマクチャン(막장)とは別)を輪切りにして焼いたもので、ビールやソジュ(焼酎)との相性が抜群の一品。テンジャン(韓国味噌)ベースのつけダレがまた絶品なのです。写真は都市鉄道(地下鉄)1号線「アンジラン」駅近くに広がる「アンジランコプチャンコルモク」(コルモクとは路地、通りの意)にある「アンジコプチャン」にて。営業時間は午前10時~午前4時、毎月第1・第3日曜休業。

アンジコプチャン(안지곱창:大邱広域市 南区 大明路36キル 63 (大明洞 872-9))

 

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「ヤキウドン」(야끼우동)。
日本の「焼きうどん」とは全く異なり、ウドン麺を海鮮などと一緒に唐辛子風味のソースで妙めた料理。辛いのですがやみつきになる、食べだしたら止まらない味。大邱では主に中国料理店で扱われています。写真は都市鉄道(地下鉄)1号線「中央路」駅近く、ヤキウドンの元祖とされる「中和飯店」(チュンファバンジョム)にて。営業時間は午前11時30分~午後9時、毎月第2・第4月曜休業。

中和飯店(중화반점:大邱広域市 中区 中央大路 404-11(南一洞 92)

 

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「ムンティギ」(뭉티기)。
ソジュに合う生肉料理として開発された大邱オリジナルの調理法で、いわゆるユッケとは異なり牛生肉を親指大の薄切りにして、ごま油・ニンニク・唐辛子粉のヤンニョム(調味料)に漬けたものです。風味に加えプリプリした食感がたまりません。写真は都市鉄道(地下鉄)1号線「聖堂(ソンダン)モッ」駅近く、「愉快なムンティギ」にて。営業時間は午後5時30分~午前2時、日曜定休。

愉快なムンティギ(유쾌한 뭉티기:大邱広域市 達西区 野外音楽堂路 3 (聖堂洞 830-1))

 

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「東仁洞チムカルビ」(동인동 찜갈비)。
1970年代初頭に中区東仁洞(トンインドン)に現れた料理で、一般的なカンジャン(醤油)ベースのカルビチムとは異なり、蒸した牛カルビを唐辛子粉とニンニクで味付けしたもの。年季の入った洋銀製の鍋に入って出てくるのが特徴。猛烈なニンニク風味とほどよい辛さは食べる者をとりこにします。写真は「東仁洞チムカルビコルモク」にある「鳳山(ポンサン)チムカルビ」にて。営業時間は午前10時~午後10時。
鳳山チムカルビ(봉산찜갈비:大邱広域市 中区 東徳路36キル9-18(東仁洞1街332-3))

 

以上の通り、前回の旅で味わうことのできた大邱十味は6種類。今回の旅で大邱十味を制覇するためには、2泊3日、およそ43時間の滞在時間の中で残る4種を口にできるかにかかっています。
前置きが長くなりましたが、それでは旅レポヘ。

 

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今回の大邱訪問に利用したのは、昨年(2016年)9月から就航したt'way航空の成田-大邱便。その同じ月に行って以来、およそ9ヵ月ぶりの訪問となります。
大邱国際空港は仁川・金浦・金海(釜山)の各国際空港とは異なり、軍民共用の空港です(NAVER地図Daum地図の航空写真でも森林に擬装されています)。そのため滑走路の撮影は禁止されており、着陸後には客室乗務員より毎回その旨のアナウンスがなされます。わずかながら緊張感が高まるひとときです。

 

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大邱国際空港に到着。日本発着便など国際線が増加の一途にある同空港ですが、リムジンバスはありません。その代わり空港ターミナルから徒歩約3分、ターミナル正面の道路を渡ってすぐの「大邱国際空港ゴンノ」(대구국제공항건너)バス停(写真)からは、大邱最大の繁華街・東城路(トンソンノ)方面へ向かう<급행(急行)1>番バスや東大邱大邱の両鉄道駅へ向かう<401>番バスなど、市の中心部へ向かうバスが頻繁に走っています。「ゴンノ」(건너)とは「向かい」の意で、道路を挟んだ向かい側にあることを示しています。

 

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一方、中心部からのバスが到着する空港寄りのバス停は「大邱国際空港アプ」(대구국제공항앞)。「アプ」(앞)とは「前」の意。このように大邱市内のバス停は、近隣の施設名の後に「アプ」と「ゴンノ」を付けたり、地名の場合だと後ろに数字を付けたりするなどして明確に区分されており、進行方向を問わず同一名称のバス停がほぼ存在しない点が特徴です。
それと写真右上にあるように大邱市内のバス停にはたいてい二次元コードQRコード)が表示されており、スマホでこれを読み取ると、次の便がそのバス停に到着するまでの時間が路線別にリアルタイム表示されるサイトにアクセスできます。ちなみに写真の「大邱国際空港アプ」はこんな感じ。いちいちアプリをダウンロードする必要がないのでとても便利です。今回の旅ではかなり重宝しました。

今回の宿は大邱駅のそばですので、ゴンノから401番バスに乗車します。

 

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大邱駅。現代百貨店が入居する立派な駅ビルですが、KTXは隣の東大邱駅に停車するためすべて通過します。
ホテルの部屋に荷物を置き、まずは最初の目的地まで散策を兼ねて歩くことに。

  

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最初にやって来たのは、大邱駅から南へ伸びる東城路を途中で左に入った場所にある、在来市場「校洞市場」(キョドンシジャン)前の道路で展開されている「校洞トッケビ夜市場」。「トッケビ」(도깨비)とは日本でいう「小鬼」に相当するもので、それっぼいキャラクターのイラストも。

 

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大邱の夜市場といえば西門市場(ソムンシジャン)のそれが有名ですが、こちらは大邱でも最初の夜市場であり、西門市場の先輩にあたります。とはいえ屋台は10台前後とずっと小さく、地域密着型のこぢんまりとした夜市場といった印象です。
「校洞トッケビ夜市場」の開催時間は毎日午後6時~午前0時。この日(6月9日)は金曜日でしたが、毎週土曜日の午後6時~午後9時にはフリーマーケットも開催され、いっそう賑わうようです。

校洞トッケビ夜市場(교동도깨비야시장:大邱広域市 中区 校洞キル 40 (校洞67-12) 一帯)

 

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続いて向かったのは、大邱随一のコミック専門店である「コミックプラザ」。
ソウル・弘大入口(ホンディック)の「BOOKSAETONG文庫」や釜山・西面(ソミョン)の「コミックセサン・ブックカルチャー」などと並び称されるこちらのお店では、日本のコミック・ライトノベルの公式韓国版や韓国作家によるそれら書籍を大量に扱うとともに、店内には交流スペースが設けられています。

 

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ちょうどこの日(6月9日)は韓国でも大人気のあのアニメこちらのキャラクターの誕生日であり、壁面はそのイメージカラーである紫色一色に染められていました。

 

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店内にはいたるところにフィギュアが。このあたりは日本のコミック専門店とは大きく異なるポイントです。ちなみに写真3枚目は今回購入した本。とうとう日本語版の最新刊に追いついてしまいました。

こちらのお店「コミックプラザ」の営業時間は午前11時(平日は午前10時)~午後9時。購入ごとにポイントがたまるポイントカードも無料で発行してもらえます。なお、以上の店内写真はすべて許可を得た上で撮影・公開しています。

コミックプラザ(코믹프라자:大邱広域市 中区 慶尚監営キル 184 (文化洞 6-2)) [HP]

 

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次に向かったのは大邱でも数少ない両替所「大信換銭」(テシンファンジョン)。ノボテルアンバサダー大邱の東側の隣にあるこちらのお店は好レートで評判がよく、前回(2016年9月)の大邱訪問でも利用したところです。
こちらのお店はサジャンニム(店主の意)が一人で運営しているらしく、営業時間中でも外出中には鍵がかかっていたりするのですが(前回訪問時がそうだった)、その旨と連絡先の携帯番号を書いた張り紙が今回はありません。よく見ると営業時間が短縮されたようで、この日(午後7時近く)はすでに閉店後。また今度来ることにしましょう。

大信換銭(대심환전:大邱広域市 中区 国債報償路125キル 6 (公平洞 9))

 

さらに南へ下り、「2.28記念中央公園」の北端、国債報償路(クッチェボサンノ)沿いにあるこの日最大の目的地へ。

 

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「平和の少女像」。
今年(2017年)春、大邱では2番目となる像がこの場所に設置されたと聞き、会いに来ました。
釜山・草梁(チョリャン)とソウルの「戦争と女性人権博物館」に続き、今年3度目の出会いです。足元には誰かが供えた花束がありました。

 

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少女が老いた姿である地面の影は、元「慰安婦」のハルモニたちの苦痛に満ちた人生を意味します。その影の心臓の位置にある白い蝶は、亡くなったハルモニたちの「転生」を意味するものです。

 

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釜山の像と同じく、その両サイドの地面には碑が埋め込まれています。向かって左側は「살구꽃 봉오리」(アンズの花のつぼみ)と題された詩が。右側は「平和の少女像」の意匠の持つ意味を解説したもので、釜山にあったものと同内容と思われます。

 

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像の隣には、付箋紙によるメッセージが無数に貼り付けられた木の造形物が。

 

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少女像は今日も静かに椅子にたたずみ、対面した相手の心をも射抜くようなその眼差しで、過去の戦時性奴隷制度と戦時性暴力被害の忘却を期する人々、そしてそれを看過する人々を見つめ続けています。

平和の少女像(평화의 소녀상:大邱広域市 中区 東城路2キル 80 (文化洞 20-1) 2.28記念中央公園)

 

在釜山日本総領事館の裏(前ではない)にある「平和の少女像」、そしてソウルの「戦争と女性人権博物館」については、以下の各エントリーにてそれぞれ紹介しております。こちらもあわせてお読みいただけますと幸いです。

 

それでは、次回のエントリーへ続きます。

 

ソウルの旅[201705_12] - 焚身した労働烈士を記念する「全泰壱橋」、そして鍾路のうんまいもの巡り

前回のエントリーの続きです。

韓国・光州(クァンジュ)広域市を中心に巡った旅の3日目(2017年5月22日(月))です。

 

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終点の龍山(ヨンサン)駅でKTXを下車、首都圏電鉄(地下鉄)1号線に乗り換えて鍾路3街(チョンノサムガ)駅に到着。情感あふれる酒場が無数にあって大好きな街です。タプコル公園近くの定宿にチェックイン。
時刻はすでに午後6時。どこかへ足を伸ばすには遅い時間ですので、今回は鍾路界隈の散歩に徹することにしました。地下には首都圏電鉄1号線も走るメインストリート、鍾路に沿って東へ向かいます(写真は西向きですが……)

 

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鍾路5街(オーガ)、ご存じ広蔵市場(クァンジャンシジャン)。大好きで何度も訪れている場所です。

 

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ユッケやピンデトック(緑豆チヂミ)などの名物で知られるこの市場、アーケード街の中央には無数の飲食屋台が果てしなく並び、終日賑わっています。2本のアーケードが交差するこの地点の写真は見覚えのある方も少なくないことでしょう。実際目の当たりにするともうすごすぎて、思わず笑いが出てしまいます。
ここでピンデトックで一杯引っ掛けたいところですが、今回はがまんしてさらに進みます。
ここからは少し南へ下り、公園化された清渓川(チョンゲチョン)沿いに歩きます。

 

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さらに歩いて、東大門(トンデムン)へやって来ました。
東大門といえばやはり東大門市場。その東大門市場を構成する複数の市場のひとつであり、衣料品を主に扱う平和(ピョンファ)市場のそばを流れる清渓川に、写真の橋がかけられています(この写真に限り2016年8月に撮影)

 

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ポドゥル橋、またの名を「全泰壱橋」。
1970年11月13日、劣悪な労働環境の改善を訴え平和市場の前にて焚身(焼身)し亡くなった労働者、全泰壱(전태일:チョン・テイル、1948-1970)烈士を記念する橋であり、中央には烈士の像が建てられています。
 

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全泰壱烈士は1948年8月26日、現在の大邱(テグ)広域市生まれ。2年後の朝鮮戦争勃発に伴い釜山へ避難した後、烈士の一家は1954年にソウルへ転居。このとき烈士は南大門(ナムデムン)の学校に通いつつ、新聞配達などで貧しい家計を助けます。
62年に生まれ故郷の大邱へ移り、翌63年にはチョンオク高等公民学校に通うものの家庭の事情により1年弱で退学、64年には再びソウルに戻ります。写真は昨年(2016年)10月の大邱訪問の際に撮影したもので、1枚目は中区(チュング)東山洞(トンサンドン)の全泰壱烈士の生家跡にある「全泰壱公園」、2枚目は同区南山洞(ナムサンドン)、烈士のチョンオク高等公民学校時代の住居跡です。残念ながら、いずれもその名称や事実を示す表示板はありませんでした。[参考記事]

 

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ソウルに戻った全泰壱烈士は1965年に研修工として平和市場の衣料商に就職し、転職を経て67年には裁断士となります。そうした中、1日約14時間労働に休日月2日という劣悪な条件、さらに低賃金で搾取されていた10代の女性工員たちに接し、平和市場初の労働運動組織「バボ会」を創立。自身も知ったばかりの「勤労基準法」(日本の「労働基準法」に相当)をそれら女性工員たちに知らしめる活動に取り組みますが、69年にはそうした活動を理由に職を追われます。このエピソードひとつ取っても、当時の韓国低所得層の労働環境がいかに劣悪であったかが実によく分かります。
その後平和市場に戻った全泰壱烈士は、労働の実態を市や労働庁などに訴えるべく1970年9月に「サムドン親睦会」を結成。平和市場の労働者へのアンケートをもとに、10月には陳情書をまとめ上げて労働庁に提出します。この提出が報道されたこともあり、労働庁は「労働条件は改善された」と公式発表をしましたが、実情は何ひとつ変化はありませんでした。

 

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そして運命の1970年11月13日、全泰壱烈士は平和市場前で勤労基準法の「火刑式」を挙行。「勤労基準法を遵守せよ」「我々は機械ではない」と叫ぶとガソリンを浴び、着火。「勤労基準法を遵守し、私の死を無駄にするな」との遺言を残し、その日の夜に22年の短い生涯を終えました。
この事件は当時の韓国社会に大きな波紋を投じ、労働者たちに労働運動を通じた権利闘争を呼び覚ますとともに、それまで労働問題に無関心だった知識人たちの目を向けさせる契機にもなりました。

 

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全泰壱烈士の死後、その母である李小仙(이소선:イ・ソソン、1929-2011)烈士は息子の遺志を継いで清渓被服労働組合の結成を指導。自ら労働運動の最前線に飛び込み、労働運動家たちを世話したことなどから「労働者の母」と呼ばれています。李小仙烈士については、ソウル・独立門(トンニンムン)の「西大門刑務所歴史館」を紹介したこちらのエントリーでも触れていますので、あわせてご一読いただけますと幸いです(パネルの写真も西大門刑務所歴史館にて撮影)

ソウル特別市は先日、ここ全泰壱橋から1.5kmほど離れた寛水洞(クァンスドン)に国内初の「全泰壱記念館」を来年(2018年)中にオープンすると発表しました。その際には必ずや訪問するつもりです。そして、京畿道(キョンギド)南楊州(ナミャンジュ)市の牡丹(モラン)公園の墓地で並んで永遠の眠りにつく、全泰壱・李小仙両烈士の墓にも。 

全泰壱橋(ポドゥル橋)(전태일다리(버들다리):ソウル特別市 鍾路区 鍾路5街 411-1)

 

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全泰壱橋から歩いて3分ほどのこちらの建物は「現代シティアウトレットモール東大門店」という商業施設です。

 

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こちらの建物は1996年、韓国初の政府指定試験卸売センター「居平(コピョン)フレヤ」としてオープン。開業当初は好調でしたが、通貨危機の影響による親会社の不渡りに加え、近隣に登場した「ミリオレ」や「Doota!」など後発組に押され徐々にフロアを縮小。1999年には「フレヤタウン」、2005年には「ファッションバレーチョンデムン」、2008年には「ケレスター」(写真は2011年に撮影したケレスター時代)など何度も改名を繰り返しつつも、2013年にはついに閉店。その後数年の閉鎖期間を経て、昨年年(2016年)春に現代シティアウトレットモールとして開業してからは安定した客足が続いているようです。経営者は異なるとはいえ、居平フレヤやフレヤタウン時代には何度か利用したことのある施設だけにほっとしています。

 

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そんな現代シティアウトレットモールの目玉であり、全国各地の名店の入居などで話題となった地下2階の飲食モール。その中でも特に注目の的となったのが、今回の目的地「イエローカフェ」です。
1974年の発売以来、韓国の人々に愛され続ける飲料「バナナ味牛乳」(바나나맛우유)、通称「バナナウユ」のコンセプトショップであるこちらのお店、すでに訪問済みという方もいらっしゃることでしょう。玄関横には巨大なバナナウユ、黄色で統一された店内にもあちこちにバナナウユの意匠が。

 

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今回注文したのはバナナラテ4,500ウォン(約450円)。おいしかったです。こちらのお店ではキーホルダーなどバナナウユのオリジナルグッズも販売されています(個人的にはバナナウユ以上に大好きなメロンウユももっと扱ってほしいところですが……)
イエローカフェ(옐로우카페:ソウル特別市 鍾路区 将忠壇路13キル 20 (乙支路6街 17-2) 現代シティアウトレットモール東大門店地下2階)

 

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そろそろお腹がすいてきたので、地下鉄で鍾路3街に戻ります。この時間になると路上にはたくさんの屋台が。以前に一度利用したことがありますが独特の雰囲気があって楽しいです。
さていよいよお待ちかねの夕食。ここ鍾路3街界隈は行きたい店の候補がたくさんあるので毎回迷ってしまいます。

 

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悩んだあげくやって来たのは、一見して飲食店とは思えないたたずまいのこちらのお店「ソウル食品」。鄭銀淑さんの著書『韓国ほろ酔い横丁 こだわりグルメ旅』に掲載されていた店で、ずっと気になっていたところです。

 

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こちらのお店は主に食品や雑貨を扱いつつ、その一角でお酒とおつまみを出してくれるという、俗に「シュポ」(슈퍼:スーパー)と呼ばれる個人商店です。そのため写真のようにカップ麺やスナック菓子に囲まれてお酒を飲むという奇妙な体験ができます。

 

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2つしかテーブルのない店内にはすでに1組の先客が。職場帰りと思しき男性たちが食べていたナクチ(낚지:テナガダコ)刺があまりにおいしそうだったので同じものを注文。ごま油ベースのダシが絶妙にマッチしてうんまい。こちらのお店ではジョッキの生ビールが飲めます。

 

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続いて『韓国ほろ酔い横丁 こだわりグルメ旅』でも紹介されていた茹でソラ(소라:サザエ)。こちらもうんまい。やや苦い肝もいいアクセントです。

 

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そして最後にクルジョン(굴전:カキのチヂミ)の「小」。ジョンとは言ってもカキ1粒ずつを衣で包んだものです。そろそろお腹もたまってきた頃合いで、まあ小だし6,000ウォン(約600円)だし大した量ではないだろうと高をくくっていたら、出てきたのはこの量だという。しかしこれがまたうまいのなんの。マッコリとの相性が抜群で、あっという間に完食。

 

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以上、料理3皿に生ビール3杯とマッコリ1本を飲んで料金はなんと34,000ウォン(約3,400円)というびっくり価格。酒類はソジュ(焼酎)を含めいずれも2,000ウォンという超破格値だからこその安さです。

こちらのお店「ソウル食品」の営業時間は午前8時30分~午後10時、日曜定休。首都圏電鉄(地下鉄)1号線「鍾路3街」駅15番出口から徒歩約2分(約150m)同3号線「乙支路3街」(ウルチロサムガ)駅4番出口からだと徒歩約4分(約250m)。店内の席が埋まっても露天席が用意されるようです。個人的に強くおすすめのお店です。近くまた行こうと思います。 

ソウル食品(서울식품:ソウル特別市 鍾路区 鍾路18キル 32 (寛水洞 102-1))

 

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この日はあまり深酒せずに、締めの冷麺へ。
鍾路から明洞にかけては冷麺の名店と呼ばれる店が点在しているものの、いずれも午後10時台までにはほとんど閉まってしまいます。そうした中で写真のお店「クテグチッ」は24時間営業、しかも冷麺がおいしいので、鍾路3街で飲む際にはいつも締めに通っています。
今回はピビン冷麺を注文。おいしいうえに麺をすするのを止めると容赦ない辛さが口中を襲うので一気に食べ尽くしてしまいます。 

クテグチッ(그때그집:ソウル特別市 鍾路区 水標路 123 (楽園洞 227))

 

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帰り道、妖しげな光を放つ楽園商街(ナグォンサンガ)の建物。

 

明けて旅の4日目、5月23日(火)。
この日は仁川発15時台のチェジュ航空で帰国予定。ソウル駅地下の空港鉄道乗り場、出国審査も受けられる「ソウル駅都心空港ターミナル」には出発3時間前までに荷物を預ければよいので、若干余裕があります。

 

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そんなわけでこの日の朝も鍾路界隈の散歩がてら、朝食目当ての店へ歩いて向かうことにしました。5月下旬、午前7時のソウルは気持ちよい涼しさです。写真はユネスコ世界文化遺産にも指定されている宗廟(チョンミョ)西側の塀沿いの小道、西巡邏ギル(서순라길:ソスルラキル)。とてもいい感じです。

 

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宗廟の北側、栗谷路(ユルゴンノ)という道路沿いにはこんな洞門もありました。

 

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首都圏電鉄(地下鉄)4号線「恵化」(フェファ)駅までやって来ました。ソウル大学校の蓮建(ヨンゴン)キャンパスに近いことから一般に「大学路」(テハンノ)と呼ばれる一帯です。実は18回目のソウル訪問にして初めて来ました(たぶん)。

 

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その大学路付近に店を構える、この日の朝食目当てのお店「スンデ実録(シルロク)」。
その名の通りスンデ(韓国式腸詰め)の専門店ですが、他に類を見ない特異なメニュー、しかも私が韓旅関連でチェックしている方々の評判も総じてよく、この日の朝食とした次第です。
今回は名物の「スンデステーキ」、14,000ウォン(約1,400円)を注文。

 

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そしてやって来たスンデステーキ。鉄板の上にはインパクト抜群のぶっといスンデ。意外と硬めの皮を適宜ナイフで切って食べます。
豚肉メインと思しき中身は日本の餃子のそれに近い風味ですが、いい具合に肉汁に浸っています。加えてパリパリした皮(腸)の歯応えと香りが絶妙。うんまい、そして白いごはんが欲しくなる味。すかさず1,000ウォンのコンギパッ(白米)を注文。スンデを先に切っておいて一緒に食べると幸せな気分になれます。

 

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メニュー表を見ると「伝統スンデ」や「スンデジョンゴル」、「1877シュンデ」など同じスンデでもさまざまなラインナップが。徹底したスンデへのこだわりが感じられます。今度は夜に訪問して、お酒を飲みながらいろんなスンデを味わってみたいものです。
こちらのお店「スンデ実録」は前述の通り24時間営業、年中無休。首都圏電鉄(地下鉄)4号線「恵化」駅1番出ロから徒歩約2分(約160m)です。 

スンデ実録(순대실록:ソウル特別市 鍾路区 東崇洞キル 127 (東崇洞 1-41)) [HP]

 

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スンデ実録を出て大学路を南下、前日も訪問した広蔵市場へ。まだ午前8時台なのでほとんどの店は閉まっていますが、目当ての店はすでに営業しています

 

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広蔵市場の奥深く、通路の中央にあるこちらのお店「モニョキムパッ1号店」の名物、その名も「麻薬(マヤク)キムパッ」、1人分2,500ウォン(約250円)。物騒なネーミングは一度食べるとやみつきになるとの意味で、他にも「麻薬パン」「麻薬トッポッキ」など韓国ではよく用いられる宣伝文句です。その名に違わずおいしいので自分用の土産として何度も購入しています。

 

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家に帰って1人分のパックを開いた写真。容器の形が残るほどキムパッがぎっしり。具に食肉を使用していないので検疫を気にせず日本に持ち帰ることができます。小袋は特製のつけダレで、カラシが効いてまたうんまいのです。

 

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こちらのお店「モニョキムパッ1号店」の営業時間は午前6時30分~午後8時、日曜日と名節(旧正月、秋夕)の当日と翌日は休みです。
最近は迷わずたどり着けるようになりましたが、市場の奥の分かりづらい場所にあるため簡単に紹介したいと思います。
首都圏電鉄(地下鉄)1号線「鍾路5街」駅から地下街を西(鍾路3街方面)へ進み、11番出口を出てすぐのところにある広蔵市場の広いアーケード入口(北1門)を入り、50mほど直進すると大きな衣類の積まれた陳列台が真ん中に並ぶ道と交差するので(写真1枚目。早朝なので陳列台の衣類は袋に入っています)、ここを右折します。この陳列台のある道を進むと、陳列台が途切れたあたりに店舗が現れます(写真2枚目)。この「31호(号)」と書かれたお店(写真3枚目)がモニョキムパッ1号店です。

モニョキムパッ1号店(모녀김밥:ソウル特別市 鍾路区 昌慶宮路 88 (礼智洞 2-1))

 

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時間が迫って来ましたが、もう1か所だけ行きたい場所が。
やって来たのはホテルからも近い益善洞(イクソンドン)。この街の一角、韓屋(한옥:ハノク)韓国/朝鮮様式の住宅)が立ち並ぶ「益善洞韓屋マウル」を訪問するためです。

 

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かつて益善洞166番地と呼ばれたこの一帯は1920年代初頭、朝鮮初の不動産開発業者とされる鄭世権(정세권:チョン・セグォン、1888-1965)氏により、韓屋が密集して建てられた場所です。同じく鄭世権氏が宅地開発を手がけた嘉会洞(カフェドン)31番地、現在は「北村(プクチョン)韓屋マウル」として知られる場所に先駆けて開発が始まったことから、益善洞は現存するソウル最古の韓屋マウルとされています。
嘉会洞には地主など富裕層向けの屋敷が建てられた一方、ここ益善洞には主に庶民向けの小型韓屋が建てられました。これらは狭い土地面積を有効活用できるよう「ロ」の字や「コ」の字形をし、また当時普及し始めた水道や電気にも対応していたことなどから「改良韓屋」と呼ばれています。
一時は再開発計画が持ち上がったものの、海外からの観光客増とこれに伴う商業エリアの拡大などもあって、現在もその姿をとどめています。

 

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手の入った韓屋と古めかしいままの韓屋が混在して建ち並ぶ風景、とてもよい雰囲気です。

 

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中には写真のように間口を解放し、内部立ち入り可の韓屋も。

 

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近年はおしゃれな飲食店やカフェなども多数開業し、一大観光スポットとなっています。首都圏電鉄(地下鉄)5号線「鍾路3街」駅4番出口からわずか徒歩1分という交通至便さも功を奏していることでしょう。とはいえ多くの方が生活されている地域ですので、ご訪問の際はお静かに観覧いただくようお願いいたします。

益善洞韓屋マウル(익선동 한옥마을:ソウル特別市 鍾路区 水標路28キル (益善洞)一帯)

 

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ホテルをチェックアウトしてソウル駅へ。都心空港ターミナルにて荷物を預け、最後にやって来たのは同駅の新名所「ソウル路7017」。

 

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ソウル駅をまたいで1970年に開通した自動車専用道「ソウル駅高架車道」を廃止し、歩行者専用の橋上公園に改装したもので、この日の3日前(5月20日)にオープンしたばかりの場所です。ネーミングの「7017」の由来は、70年開通の道路を17年にリニューアルしたから。高架橋そのものが観光スポットであるほか、新たに連結された周囲の建物や近隣地域への近道としても機能します。

 

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オープン4日目のこの日も多くの観光客が訪れていました。高架橋の上には植樹や池なども。写真はありませんが軽食のお店も設置されていました。

 

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ソウル駅の西側、空港鉄道の乗り場に近い15番出口とも連絡しています。

 

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いままで見たことのない角度からソウル駅旧駅舎(文化駅ソウル284)が撮影できます。

 

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わざと路面に穴を開けてガラスをはめ込み、下の地面や線路が見えるようにしているポイントも。

 

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無数の履物が積まれた「Shoes Tree」というアート作品(現在は撤去済み)。埋もれてしまった銅像の姜宇奎(강우규:カン・ウギュ、1855-1920)義士もさぞびっくりしたことでしょう。

 

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「ソウル路7017」は24時間年中無休で解放、公共の通路ですので利用料もありません。エレベーターもありますので車椅子やベビーカーの方も利用できます(この日は間に合っていませんでしたが……)。夜はライトアップされて、また別の楽しみ方ができるようです。 

ソウル路7017(서울로7017:ソウル特別市 中区 退渓路 (南大門路5街)一帯) [HP]

この後は空港鉄道で仁川国際空港へ移動、帰国の途に着いたのでした。

2017年5月の光州(&羅州・ソウル)の旅は、今回で終了となります。お読みいただきありがとうございました。
次回からは、2017年6月の大邱の旅をお送りします。

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